(APH/墺)
「ローデ。」
「………。」
遊びに来たのに、ローデがずっとソファーで本を読んでいる。
「ローデ。」
「………。」
俺はローデの正面に座って、ローデの邪魔をしている。
「ローデ。」
「………。」
何度呼んでも無視される。ぐいと、ローデの上着の裾を引っ張ったら、やっとローデは俺を見てくれた。
「…オーストリア。」
「……なんですか名前。」
綺麗な眉が寄せられて、咎めるような声が俺を呼ぶ。
ローデの紫色の瞳に、俺が映った。
「触ってもいい?」
「………好きになさい。」
ローデの前に跪き、その足に触れる。
「ここにいてもいい?」
「……好きになさい。」
「名前、呼んでもいい?」
「…さっきからずっと呼んでるじゃありませんか。」
呆れたようなため息とともに、ローデの手が俺の頭を撫でる。
午後の柔らかい日差しの中で、ローデは優しく輝いているように見えた。
「………好き。」
素直な気持ちを口にすると、ローデの頬が朱に染まる。
「抱きしめていい?」
「…この、お馬鹿さんが。」
恥らうように伏せられた目と静かに閉じられた本に肯定だと受け取って、俺はローデへと腕を伸ばした。
泥棒つかまえました(いつの間にか)
(私の心は)
(俺の心は)
((彼に))
((奪われてしまったのです。))