短編(♂) | ナノ


(Dグレ/クロス)







その日とても上機嫌だったクロスが、夕食を作ってくれると言いだした。
今まで長く付き合っているがクロスの手料理は食べたことがなかったので、俺は二つ返事で返した。

(恋人が手料理を振る舞ってくれるというのに断る男がどこにいる!)

「終わるまで入るなよ。気が散る。」

2人で仲良く買い物に行った後、クロスはそう言ってキッチンに篭ってしまった。
一時間たっても二時間たってもクロスは出てこない。
その上なんだか不吉な音が中から聞こえてくるのだから、不安は増すばかりだ。

四時間。どうにか大人しく待っていた俺は、流石に耐えられなくなってこっそりキッチンを覗いてみた。
そして見てしまったのだ。
鼻歌を歌いながらマリア(クロスのイノセンス)と一緒に料理をするクロスの姿を。

いや、別にそれは構わない。
むしろクロス可愛いと思ったくらいだ。
問題はクロスの手元。
クロスが嬉々として何かしているその手元。
どうも、人の食べ物としておかしい色の物体が見えて、俺は固まった。

緑の何かがうねっている。紫の煙が上がっている。
クロスが持っている筒はなんだ?そのテーブルの上にあるグロテスクな物体は?
……………クロス、なぁクロス。それはなんだい?
何も言えないでいると、気配に気づいたのかクロスがくるりと振り返った。

「………見たな?」

にっこりと、殺気の篭ったクロスの瞳。

「失礼しました!!!」

俺は慌ててキッチンから逃げ出した。



何の実験かと思った
(………クロスが料理出来ないとは…。)
(名前、出来たぞ。)
(……うん、ありがとうクロス。)
(食えよ?)
(…もちろん、愛するクロスの手料理だしね。)
(安心しろ、死んだらお前も俺のイノセンスにしてやる。)
(……え。)
(冗談だ。)



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