(夏目・田沼・多岐)
真夏のある日、夏休みの宿題と戦っているところに三人がやってきた。
ビニール袋を持つ夏目と田沼、ニャンコ先生を抱いた多岐だ。
「どうしたー?」
「四人で宿題やろうと思って。」
俺の部屋へ上がってもらい、田沼が持って来てくれたジュースをコップに注ぐ。
夏目はチョコやポテチなどのお菓子を持って来てくれた。
「マジで?大歓迎!」
ばんざーい!と両手を上げると三人が笑った。
ん、ちょっと待て。俺はこんな暑い日にクーラーの効いた部屋から出たくないぞ。
「でもさ、俺、外出るのやなんだけど。暑いし。」
「…まぁ夏だから仕方ないよ。」
「それでね、名前君。あ、ねこちゃん!」
「名前!私にも何かよこせ!」
ぴょ〜んと多岐の腕から抜けて俺の膝へと乗った先生がぺしぺし主張する。
ふっふっふ、もう準備済みなのだ!
さっきコップと一緒に持ってきてもらったスルメを割いてニャンコ先生にやると、にゃぐにゃぐと可愛い声を出して食べ始めた。
癒される!
「まったく、ニャンコ先生は…。」
呆れてため息をつく夏目に「可愛いじゃん。」と言うと、「そうよね!」と多岐が同意してくれた。
田沼と夏目はそうか?と苦笑する。
「で、多岐はさっき何を言いかけたの?」
「あ、うん。あのね、もしよければ名前君の部屋で勉強したいんだけど…。」
「ここで?」
「うん。」
「狭いよ?」
「十分よ。」
気づくと、夏目と田沼も期待と不安に満ちた目で俺を見ていた。
まぁそれなら外に出なくていいし、このメンバーなら断る理由もない。
「もちろんいいよ。その代わり勉強教えてな!」
「よかった!」
「ありがと名前!」
「ありがとう!」
三人がぱっと破顔した。俺もつられて笑う。
「よし田沼、数学教えてくれ!」
「さっそくだな名前。」
「夏目は社会な!」
「はは、任せてくれ。」
「多岐は英語!」
「じゃあ理科教えてね。」
「任しとけ!」
わーきゃー言いながら四人で宿題を始めた。
いつの間にかスルメを全部持って言ったニャンコ先生が、俺のベッドで満足げにスルメをかじっていた。
アイス食べる?名前(よし、きゅーけー。アイス持ってくるわ!)
田(ん、さんきゅ。やっぱ夏はこれだなー。)
名前(後でスイカも食おうぜ。)
夏(なんかいろいろ悪いな。)
名前(気にすんなよ夏目。ほら多岐も!)
多(うん、ありがとう!)