(会計委員五年主/会計委員)
僕の所属する会計委員会は、学園一ギンギンに忍者している潮江文次朗先輩率いる集団だ。七松先輩に次ぐ暴君の先輩だが、僕たちは先輩を尊敬しているのでいつだって先輩に従っている。
けれど五年の名前先輩は、嫌な事は絶対にしない主義らしい。
「待たんかバカタレー!!」
「誰が待ちますかバカタレー!」
今日も徹夜で帳簿管理をしていたら、潮江先輩が池で寝るといいだした。
しかし名前先輩は即否定。
そして今の鬼ごっこが始まったのだ。流石上級生。タフだ。
「………ふ、あぁぁー…」
眠気が襲ってきて、僕は2人が出て行った廊下を見ながら欠伸した。
一年2人はもう寝てしまったし、神埼も目を開けたまま意識を飛ばしている。
相変わらず器用な奴。
「もう寝ていいぞ、三木ヱ門。」
走っているのに足音がしない名前先輩がいつのまにか僕の隣にいた。
潮江先輩をまいてきたのだろうか。
「………でも…」
「大丈夫だ。部屋までちゃんと運んでやるさ。」
よしよしと頭を撫でられて瞼が閉じる。もう開けられそうにない。
「おやすみ、三木ヱ門。」
優しい先輩の手と声に、僕は深い眠りに落ちた。
次の朝、目が覚めると自室の布団の中だった。
きっと先輩たちが運んでくれたんだ。
名前先輩の手を思い出して、僕は布団の中で小さく笑った。
逃げようとしてる?(だって、あんな無茶後輩にはさせられない。)
否、逃げてみせる!!(名前先輩、潮江先輩に勝てたんだ。)
(おはよう、三木ヱ門。)
(おはようございます、先輩。昨日は…)
(うん、みんな寝てくれて助かった。俺も布団で寝られたよ。)
(そうですか、良かった!)