短編(♂) | ナノ

(APH/カナダ)





のんびりしているマシューはよくアルフレッドに振り回されている。
今日もアルが作った原材料不明の不気味な色のケーキを押し付けられて、俺のところへ泣きついてきた。

「ど、どうしよう名前君…」

うるうると俺を見つめながら「メープルかけたら大丈夫かな?」なんて言うマシューはちょっとおバカで大変かわいい。
けれど泣き顔はもっとそそる可愛いので、俺はあえてマシューを無視した。

「……名前、君?…あの、名前君、ぼく」
「……誰?」
「!!!」

読んでいた雑誌から視線だけ上げてそう問うと、マシューはくしゃりと顔をゆがめて泣き出した。
あぁぁ可愛い!

「マ、マシューだよぉー…っ!」
「うん、わかってるよ。ごめんねカナダ。」

マシューは「名前君ひどいよ!」と言いながらケーキを放り投げて俺に抱きついてきた。
よしよしとマシューの頭を撫でてやりながら、俺は放物線を描くケーキを目で追った。




名前忘れた
(…ケーキ潰れて良かった…。)
(名前君、ぼくのこと忘れないでね!?)
(忘れるわけないよマシュー。大好きだからね。)
(うん、ぼくもっ!)


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