(忍たま/小平太)
今日も小平太は後輩をぼろぼろにしながら塹壕堀をしていた。
毎日毎日よく飽きないものだ。
バレーボールをしては毎回ボールを潰し、塹壕堀りで校庭をぼこぼこにし、留の手を煩わせている。
まぁ、悪い奴じゃないんだ。
アホな大型犬なんだけど。
「名前…どうしよう…私今の成績じゃ卒業出来ないって…!」
うわぁぁんと勢い良く俺の部屋に飛び込んできた小平太は、視力検査みたいな点のテストを持っていた。
「勉強を教えてくれ名前!」
そう言って俺にすがる小平太。
それが数日前のこと。
それから俺は毎晩小平太の勉強を見てやっている。
「……あ、あの名前…これは…?」
本日もう何度目かも分からない質問。
小平太が指差すところを見ると、昨日教えた問題ではないか。
「…昨日教えた。」
「ご、ごめんもう一度…」
ため息をついてまた一から説明しなおす。
真剣に聞いていた小平太は、説明が終わると分かったと頷いた。……昨日も同じだったよな小平太。
今までずっとこんな感じ。
多分これからもこんな感じ。
…なんか、小平太に教える自信がなくなってくる。
なぜこんなに座学が出来ないのか、一度小平太の頭の中を見てみたいくらいだ。
「…小平太、今日はもう寝よう。」
「あ、うん。」
もう夜も遅い。
ギンギンに忍者している級友のようにはなりたくないので(あの隈はいただけない。)、うとうとし始めた小平太に声をかける。
素直にうなづいた小平太はすでに半分寝ぼけているようで、俺の布団へともぐりこんだ。
まぁこれもいつものことなので、俺もその隣へ入り明かりを消した。
―――その夜、夢を見た。小平太が、俺の願いを叶えてくれるという。
「…じゃあ、頭の中を見せて。」
「もちろんいいぞ!」
夢の中の俺がそう言うと、小平太はまるでからくりの様にかぱりと頭を開けて見せてくれる。
俺は興味津々に覗き込んで固まった。
空っぽでした(……なんて怖い夢…!)
(…ん…おはよーなまえ…)
(おはよう小平太。俺がちゃんと(いろいろ)詰め込んでやるからな!)
(?うん、よろしくたのむ!)