短編(♂) | ナノ

(小平太/三年主)





六年で体育委員長の七松小平太先輩は、とってもいい先輩です。
元気で明るくて、いつも僕たち後輩とも良く遊んでくれますが、何分体力と怪力で学園一を誇る先輩ですから、いろいろ大変なことになるのです。

「いけいけどんど〜ん!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ〜…」

今日も元気な体育委員は校庭で小平太先輩にぐるぐるされています。
あぁ、恐ろしい。
死にそうな声を上げる金吾を、滝夜叉丸先輩が何とか救出しました。いつも自慢話ばかりの先輩ですが、本当は優しくて後輩想いのいい先輩なんです。
潰れる後輩たちの中に同じ組の三之助がいないから、きっとまた迷子になっているのでしょう。

「あ、名前!」

ぐったりしている後輩たちで遊ぶほど残酷ではない暴君が、僕を見つけて嬉しそうに走って来ました。その姿はじゃれ付く大型犬に見えますが、大型犬をなめてはいけません。
身の危険を感じた僕はどうにか逃げようとしましたが、先輩にあっという間に腕を掴まれて動けなくなってしまいました。

「名前もぐるぐるしてやろう!」
「いえ、遠慮します。」
「じゃあバレーボールをしよう。」
「いえ、遠慮します。」
「塹壕堀はどうだ?」
「いえ、遠慮します。」
「ならマラソンだ!」
「いえ、遠慮します。」

言うと、むぅっとむくれた先輩は「遠慮なんかするなー!」と叫びました。
なんと言われようと遠慮しますとも。

「あ、名前見っけ。先輩たちも。」

そこへタイミング良く三之助が現れました。迷子から自力で戻って来られたようです。
救世主!




丁重にお断りします
(ほら小平太先輩、三之助がぐるぐるして欲しいそうです。)
(む、そうか三之助!)
(え、名前?)
(ごめんね三之助。)
(ほら三之助、ぐるぐる〜!)
(う、ぎゃぁぁぁぁーー!!)



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