長編 | ナノ


夏目くん


お昼頃、やっと登校したら神崎くんはいなかった。

「夏くん、神崎くんは?」
「今日は休みだよ」

3-Aの教室に居たのは夏くん1人。つまらなそうに窓側で携帯をいじっている。

「なーんだ。無駄足。」
「名前くん何しに学校来てんの」

苦笑いして携帯を閉じる夏くん。神崎くんに会いに、と返すと優しい笑い。

「神崎君愛されてるなぁ。」
「まぁ、愛しちゃってるかね。夏くん、神崎くん居なくて暇?」
「うん、すげぇ暇ー」
「じゃあここ座って。」
「?」

神崎くんがいつも座っているソファーに夏くんを座らせる。俺もその隣に座る。

「ごろーん。」
「子供だね…」

夏くんに呆れられつつソファーに寝転んで夏くんの足に頭を乗せた。所謂膝枕。

「神崎くんいないから夏くんでいいや。」

下から見上げながらそう言うと、夏くんは意地悪そうに笑って「それ俺に対してすごく失礼だよ」と言いながら俺の髪をぐしゃぐしゃにした。

「寝ていい?」
「最初からそのつもりでしょー」
「まぁね。」
「そっかー、神崎くんはいつもこんな感じの名前くんをみてるのかー。」
「うらやま?」
「ぜんぜん。」

うわひでぇと笑うと夏くんも声を立てて笑う。

「おやすみ、夏くん。」
「寝相悪かったら蹴り落とすからね。」
「俺ちょー寝相イイよ。」
「よく神崎君に怒られてるもんね。」
「……夏くん俺に冷たいよね。」
「そんなことないっしょ。」

名前くんだいすき。と夏くんの顔が近づいてくる。声は軽い調子なのに目がちょっと本気。

「俺も、夏くんすき。」
「神崎君はだいすき?」
「大好き。」
「……タラシだなー、名前くん。」

えいっと可愛らしい声で俺の鼻をつまむ夏くん。息できないよと抗議すると鼻で笑われた。

「寝るよ?」
「どーぞ。」
「帰るときは起こしてね。」
「忘れなかったら。」
「…揉むよ?お休み。」
「セクハラ反対。おやすみ。」

声に出さずに笑う夏くんに俺も笑って目を閉じた。











「どうかしましたか、神崎さん?」
「いや…。夏目からメールだ。」
〈みてみてー、名前くんの寝顔☆〉
「なっ……!!(寝顔だと…!?)」
「か、神崎さん…!?」
「くっそ…。(う、うらやましい…!)」
「????」


 


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