神崎くん
教室にカチカチと響く神崎くんがゲームする音。神崎くんの隣で携帯をいじっていた俺は暇になって教室を見渡した。
みんなトランプしたりゲームしたり。なんか平和だ。
「神崎くん、神崎くん。」
「…あ?」
ゲームに夢中になっている神崎くんの反応は微妙に遅い。多分俺の話がちゃんと耳に入っていない。
「膝かして。」
「…おー…」
「聞いてる?」
「…あぁ。」
絶対聞いてないな。
「膝膝。ひざまくらして。」
ゲーム機を連打する神崎くんの膝へ無理やり頭を乗せたらやっと状況に気づいた神崎くんが俺を見た。
「………てめぇ、何してやがる!」
「なにってひざまくらー。」
「降りろ馬鹿!」
「だって神崎くんいいって言ったし。」
「言ってねぇよ!!」
「えー、『膝かしてー』って言ったら『おー』って返事したし。」
「してねぇ!!!」
怒る神崎くんの膝から退くことはしない。神崎くんも怒るくせに俺を蹴り落としたりはしない。
「言ってたよー、神崎君。」
傍から見ていた夏くんがひーひー言いながらそう口添えしてくれた。てーか、夏くん息できないくらい腹抱えて笑い転げてるし。
「夏目てめぇ!」
「ほらほら言ったってー!俺正しいー!」
「小学生かてめぇは!」
くっそ!と毒づいて諦めたのか神崎くんは不機嫌丸出しな顔でまたゲームを始めた。
「神崎くんひまー。」
「…俺は忙しい。」
「んー、俺そのゲーム全クリしちゃったし。」
「…。」
「いたたたた。髪引っ張らないで神崎くん。抜ける抜けるはげる。」
「禿ろ。」
「ひでー。」
ぶちぶちって嫌な音がしたあたりで神崎くんははなしてくれた。頭皮ちょう痛い。
「………攻略、教えやがれ」
「もち、いいよー。」
「…ほんと仲良いよね、名前くんと神崎君。」
「あぁ。神崎さんも楽しそうだ。」
「あ、そこそこ!もうちょい!」
「うるせぇ、すこし黙って…よっし!!」
「やった!神崎くんすげぇ!」
「まぁな!」
今日も平和な3-A。
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