す
『彼女は天女だったのだ。』
俺が計画を遂行した翌日。
学園から彼女の姿は消え、そんな噂が流れ始めた。
突然消えた彼女。
誰も、何も知らない。
彼女は天女で、天へと帰っていったのだ。
あの女性が消えた。
もう名前も思い出せない。顔も声も、握った手の大きささえも曖昧である。
しかし、己が恋人にどんな仕打ちをしたかは、覚えている。
「名前、名前…!」
私の愛しい人。
それなのに己は他の女にうつつを抜かし、あまつさえ、別れまで切り出したのだ。
『幸せに、なって下さいね。』
そう言って、泣きそうな笑顔を見せた名前を思い出す。
あぁ、私はなんて愚かなことをしたんだ!
話がしたくて、謝りたくて名前を探す。
けれど、いない。
部屋にも教室にも校庭にも、学園中探してもいない。
どうして、どうしてどうして!
視界が歪む。頬を涙が伝った。
どうしていないんだ名前!
名前の部屋の前まで戻って来て、座り込んだ。
私が、悪かった。
もう、もう絶対名前以外を愛したりしないから
「……名前っ…!」
責めてくれて構わない、罵ってくれて構わない。
いや、そうされなければいけないほど、私は名前を傷付けたのだ。
どんな罰でも受けるから、どうか、話をさせてくれ!
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