幸
痛みに薄れた意識が 突然引き戻されて
開いた瞼の先は
最近見慣れた木目の天井ではなく
真っ白い 真っ白い 天井でした
あの痛みはどこにもなくて
左手を見ると包帯と管
これは……点滴?
ぼんやりと見渡すと そこは保健室ではなく病室でした
そして開く白い扉
そこにいたのは 大好きな大好きな お母さんでした
最期の記憶より ずうっとやつれたお母さんが
私を見つめて 私の名前を呼びました
おかあさん
おかあさんだ
おかあさん!
2人抱き合ってわーんわん
いつの間にか駆けつけていたお医者さんが
私に説明してくれました
私はトラックに轢かれて いままでずっと寝てたんですって
その日 知らせを受けてみんなが集まってくれました
その中にいたのは 大好きな人
よかった よかったと私を抱きしめて泣いてくれる彼に
誰かの面影が重なりました
けれどそれが誰か思い出せないまま私は彼に抱きつきました
なんだか怖い夢を見ていた気がしますが
それは夢の話でした
ただいま 私の世界
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