長編 | ナノ





グラウンドから 楽しそうな話し声
倉庫の方から 規則的な金属の音


グラウンドは今
1、2年生合同で鬼ごっこみたい


倉庫の方は用具委員かな
きっとこれは木槌の音だから何か修理中なのかな



いつもと同じ平和な時間

そんなことを思っていると きゅっと手を握られる

「名前?」

「……なぁーに、はち」

「何見てんだよー」

「なにかなぁ」

隣に座っていたはちが ぷくっと頬を膨らませる

一緒にいるのに ほっといたから拗ねたみたい


膨らんだ頬を指でつついて 口づけを1つ

真っ赤になって私を見たはちが 照れながら顔を近づけてくる

なにをするつもりかなんて一目瞭然だから

私は黙って目を閉じて はちを待った






あの日を境に 天女様の存在はすっかり消えてなくなりました

戻ってきた 幸せな日常

涙で袖を濡らしていた後輩たちも

いつのまにか恋人とよりを戻したらしく

もうくのたま教室に悲しみの色はありません





「名前、町にいかないか?」

「…いいよ、逢瀬?」

「っ、ばか!」

真っ赤な顔のはちと手をつないで 二人だけの時間





…さようなら てんにょさま


ごめんね?






2014.10.16 誤字訂正



 


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