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そこは、街から離れた静かな山の梺。
古風な造りの小さな屋敷に、俺たちは借り暮らししている。
「文次郎ー!」
「どうした伊作?」
夕飯の調理中、台所へ塩を取りに行っていた伊作が慌てた声で俺を呼んだ。
「大変だよ文次郎!塩がなくなりそうなんだ!」
「塩が?」
「うん、多分あと一回使えるかどうかぐらいだよ。」
そう言いながら握っていた塩を鍋に入れる伊作。
「そうか。砂糖も無くなったし、そろそろまずいな。」
「夜使う灯りも電池きれそうだしね。」
「あぁ、なんとかしないとな…。」
薄暗くなる部屋の中で伊作と夕飯の用意を続ける。
俺たちが借り暮らししているこの家には、1人の爺さんが住んでいた。
その爺さんが亡くなってから早半年。
誰も人間が住まなくなった家では、借り暮らしもままならなくなってしまった。
「よし、完成だ。」
「ん、お疲れ様。」
配膳の準備をし始めると三木ヱ門や左門が手伝いにきた。伊作は机を用意しながら声を張り上げる。
「みんなー!ご飯だよー!」
その声を聞いてか、はたまた匂いにつられてが、わらわらと集まってくる小人たち。
飯を受け取るとみんな行儀良く座る。
全員集まった所で、最年長である学園長の合図と共に夕飯が始まった。
柱にかけられた懐中電灯はもうずいぶん暗くなっていた。
明日は、灯りになりそうなものを探そう。
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