古市くん
公園のベンチでぼんやりと遊んでいる男鹿とベル坊を眺める。
「なぁ、」
「んー?」
「喉かわかねぇ?」
「そうだなー」
隣にいるのはやっぱり暇そうに男鹿たちを眺める古市。
「なんか飲み物買いに行こうぜ。」
「いいよ。」
「お、なら俺コーラ!」
「ダウー!」
俺たちがベンチから立ち上がると向こうのほうで聞いていたらしい男鹿が声を上げた。
ひらひらと手を振り古市と一緒に自販機へ向かう。俺よりだいぶ下にある古市の銀髪を見ながら古市についていく。
「男鹿はコーラ、と。他2は?」
「どうすっかなぁー。古市は?」
「俺もコーラでいいや。」
「あ、じゃあ俺サイダーにしよっと。」
「いいな、一口くれ。」
「うん。」
缶を持ってベンチへ戻ると絡まれたのか男鹿が近所の不良を殴り飛ばしているところだった。
「おぅ、男鹿モテモテ。」
「……乱入すんの?」
「もう終わるしあんま強くなさそうだからいいや。」
「…他2は、強いやつが好きなんだな。」
「まぁ、基準の一つではあるけど。」
俺がベンチに座るとすとんと俺の隣に座って古市は拗ねたような顔をする。
「古市?」
「…何」
「何拗ねてんの?」
「…別に!」
「別にってことはないっしょ。」
ぷしゅっとコーラを開けるいい音。古市は何も答えずにコーラを呷った。
「…………男鹿も、東条も、みんな強いじゃん。」
「うん?まぁそうだね。」
俺のほうを見ないでぼそぼそしゃべる古市。
「………俺は、別にケンカ強くないよなぁって…さ…。」
「古市?」
「…やっぱなんでもない!」
それは、えーと。
「別に、ケンカ強いから誰でも好きなわけじゃないんだけど?」
「………でもケンカ強いほうがいいんだろ!」
「まぁ弱いよりはね。でも古市は別枠。」
「え?」
俺のほうを振り返った古市が間抜けな顔をする。
「何だかんだ言いつつ男鹿の世話焼くとことか、ケンカ苦手なくせに首突っ込む…つーか巻き込まれる?とことか、古市は一緒にいて楽しいから好きだよ。」
「っ!!」
「古市、顔赤い。」
「他2が変なこと言うからだろっ!」
「俺変なこと言った?」
「言ったよばかっ!このタラシ!」
「えー?」
バタバタと古市に叩かれた。赤い顔が可愛い。だから古市は別枠なんだ。
しきりに怒ったふりをして俺を睨む古市に、俺はニヤニヤが止まらなかった。
「他2、コーラ」
「ん。」
「サンキュー……ぶはぁっ!!?」
「「あ。」」
そういえば、結構乱暴に男鹿のコーラ持ってきた
しゅわしゅわと男鹿の頭から滴るコーラ…
「……………ふぅるぅいぃちぃぃいい!!!」
「って、俺が悪いのかよー!!」
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