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失われる熱(クザン)(2015/02/10 20:20)

顔を合わせればいつだって大っぴらにお慕いしていますと好意を示してくれる男に、クザンは飽きれたような顔をしながらも内心嬉しかった
けれど素直になれなくて、いつだって憎まれ口しか返せない
それでも彼は自分と目が合うだけで嬉しそうに微笑むので、その関係に甘んじていたら、ある日部下に言われた言葉
ご存知ですか?一度失われてしまったら、熱は2度と戻らないんですよ
すぐに何のことを言っているのか分かって言葉を失うクザンに部下は微笑む
そして熱が失われるのは、一瞬です
それがいつか、1年後か100年後か、それとも明日か、そんなのは神のみぞ知る、ってね
すぅっと色の無くなるクザンに部下は笑った
少し早いですがお昼休みにしましょうか大将
あぁ、と情けない声で答えて慌ただしく席を立ったクザンは強ばった顔で執務室を出ていった
その背中を見送ってくつくつと笑う部下
いつまでたっても想いビトに振り向いてもらえない友人がいるなら、一肌脱ぐのが親友というものでしょう?




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