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陰陽師パロ(ハイキュー月島)(2013/08/04 22:29)

彼と会ったのは、師の屋敷の庭だった。
ときどきくる薬売りの青年で、その日は師が自慢の庭を案内していた。白い髪に白い肌、ただ目だけが真っ赤で、いつも深く帽子をかぶっている人だった。
陰陽師としての才がなく、早く屋敷を去れとまで言われているオレには決して縁の無い筈の彼と初めて言葉を交わしたのは、彼が師を待っていた時のことだ。
師が信頼を置く薬売りの中でも彼は特別で、修行よりも雑用を命じられることの多いオレはその日、彼にお茶をお出ししていた。

「ありがとう」

そう言って白い髪の間から覗く赤い瞳がわずかに細められる。オレは一礼してすぐにその部屋を後にした。





そう、始まりなんてそんな感じ。
だから俺なんて絶対に縁の無い人のはずだったのに。

「○○」
「はい」
「お茶」
「はい」

今、月島さんはなぜか俺の部屋の縁側で優雅にお茶を所望している。
いつのまにか屋敷の小間使いと化している俺はそそくさとお茶を煎れて持っていった。
最近ずっと屋敷に滞在している月島さんが俺を傍付に任命して以来、俺が使っていたボロい離れで月島さんも寝泊まりしている。
師は「屋敷の方へ」って言うけど、結構頑固らしい月島さんはここでいいと言って俺から離れなかった。

「お茶菓子無いの」
「饅頭と団子どっちがいいですか」
「……どっちも」

ここ数日で知った、月島さんのこと。
お茶と甘いものが好きで、花や鳥に詳しい。それから少し寒がりでとても体温が低い。いつでも触れる手は冷たくて、俺は時々心配になる。
あとは案外わがままだ。あれして、これして。ああじゃなきゃヤダとかこうしてくれなきゃヤダとか、けっこう注文も多い。でもご所望通りにすると普段は見せない笑顔を見せてくれるのでついつい俺は無理をしてでも月島さんの願いどおりにしてしまう。
最後に、いつも帽子を目深にかぶっている月島さんの額にはもう一つ、目が、ある。
初めて見たときは驚いたけど、「…怖い?」って聞く月島さんがなんだか寂しそうで何も考えずに首を横に振っていた。
月島さんは、何百年も生きている妖怪なんだって、さ。









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