ぜんざいからの着信が酷くウザッたらしかったのでスカイプからログアウトしてベッドを組みたてる事にした

そうしているうちに布団やマットレスが届いてさらに家の中がカオスになった
悲しい、すごく悲しい

やっとベッドが組み上がったので気分転換にパソコンを再度立ち上げてフリーの録音ソフトでぜんざいのリクエストだった着ボをとってやった

無論これの目的の大半は嫌がらせのためだ
名字じゃ大してダメージを受けない事が分かったので「俺は…光の事、好いとうよ」と超良い声で録音した

我ながら良い出来だ
キモ過ぎて背中がムズムズするぐらいキモイ

再びスカイプにログインするとぜんざいからのメッセージが沢山表示されたがどれも削除済みだった
スカイプは発言消すといちいち「この発言は削除されました」ってログが残るんだよな

ぜんざいのアイコンは赤の「取り込み中」となっていたが構わず先ほどの音声ファイルを送りつけた

取り込み中表示だった癖に瞬時にダウンロードされて、数秒後には「あざぁああああっす!!!!」とテンション振り切ったぜんざいらしからぬ発言が出た

何で喜ぶんだ、嫌がらせだぞこれ

次はウィルスでも送ってやろう、そうしよう

着ボに加工すると言ってぜんざいが消えたので俺も買い物とこれから通うであろう学校の下見に外出する事にした
スカイプはスマホからでも使えるし、ぜんざいが荒ぶってもまあいいかな

とりあえずご飯をつくるための食材と、料理本もほしいな
それからこれから行くであろう高校への道も確認したい

俺の住む角部屋とは反対側の角部屋…管理人室の扉をガツガツと殴るようにノックすると秋吉さんが扉を凄まじい勢いで蹴り開けてきて扉にブチ当たった


「うぇっwwwちょお痛いwww」

「お前は超ウザイ 何しに来たんだ」

「あのね、この辺で食品を買う時とかに使うスーパーとかあるかな?
あと俺の行く中学ってどこ?」

「…あー、スーパーは案内する
学校は俺が行ってた所でいいよな? もう話はつけちゃったけど」

「編入テスト受けてねぇよ?ちなみにどこなの?」

「編入テストいらねぇってさ ちょっとした裏口入学っていうか…、コネ入学?
ちなみに氷帝学園ってとこ」

「氷帝…氷帝っ!?」

「ん、じゃあスーパー行くか」


秋吉さんは髪の毛ボッサボサのままサンダルを引っ掛けて歩き出してしまったため、仕方なく後について出発したが、俺の脳内はそれ所では無かった

氷帝って、俺が前世で乙女だった頃に見た漫画で出てきた学校じゃないか?

今では「女」だった時の記憶が残っているだけで思考や趣向はほぼに男になってしまっている

今じゃ女の子が大好きだし、男は恋愛対象外
ほんのり女だった時の面影がない訳でもないのだが…
例えば甘いものが好きだったり、キラキラ光る小物が好きだったり、女のぶりっこを見て「はぁん、コイツ狙っとるなぁ」と見抜けたりする程度だ

自分でもよく判らないが、自分なりに「俺は男」と認識しているし、問題ない!と思っている

話を戻そう


俺がまだ乙女だった頃に見た漫画では中学生らしからぬ中学生がものごっついテニスを展開していた
その氷帝学園ならば、きっとフォロ部およびアホ部がいるはずだ

アホ部の天下の氷帝でやっていける気がしない
皆無である

もしもの時はぜんざいの住む大坂まで夜逃げしよう


「ここ、スーパーね」

「おっ?! おお、なる程ね、ここがスーパーなのね」

「…、うん」

「ちなみに氷帝学園への道乗りは?」

「電車で氷帝学園って駅があるから、そこで降りるとすぐ」

「わかった、行ってみるっすわ」

「買い物しないの?」

「あとでー! テニス部の練習風景見たいんだ
んじゃ、バーイ!」

「そっか、名前君テニス部だったんだっけ…
行ってらっしゃい」

「うえっ!? あ、あぃっ いってきます!」


行ってらっしゃいなんて言われるの、久々かもしれねぇ




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