身に余るほどの力を持つと人はどうも可笑しくなるらしい

俺の両親が宝くじの一等前後賞を当てたことから俺の人生の超転機が訪れた

"東京にいる叔父さんがアパートを経営しているの"

"話はつけてあるから、あんたはこれからそこで一人暮らしよ!"


そりゃないぜ、ママン…
俺まだ中二だし、厨二病まっさかりだし、飯も作った事ないのに…

そんな事は言えるはずもなく、俺は言葉を飲み込んだ

母は三億円の内一億円分を振り込んだ通帳だけを俺に持たせて、家から追い出した


"あたしはこれからこのお金を使って、あたしのための人生を送るの!"

"それはあたしが母親を止めるための手付け金って事"


つまりは俺を捨てたんだよね、ママン?


「うぇえ…、グスンッ」

「部長、そ…んな泣…かんで下さい…うはぁwww」

「あれ、おかしいな?」

「えっ?」

「えっ?」

「だってあからさまに嘘泣きだった………すんません、すんません
てか、わざわざ学校サボってまで見送らなくて良かったんですよ?」

「いいんだよ…、学校なんかサボったって死なないんだから

はよ行って来いブサイク
んでドン引きされたら戻ってこいよ?
俺の胸元は開けておいてやるから」

「おまわりさんwwwこの人ですwww」

「ちょっwww/(^q^)\」


一見おまわりさんにも見えなくもない駅員さんが「ガタッ」と動揺していたが、胸元を開けておく宣言をした部長が俺に抱きついてきたので「なんだ、友人か…」と一息ついていた
変わりにライトノベルぐらいの大きさの本を片手に持った社会人風のお姉さんが「ガタッ」っと音を立てた
「リ、アルBLktkr…」

あっ、そっちの方ですか、チーッス!

お姉さんにサービスしてあげようかとハグの状態のまま部長の髪を撫でて「メールも電話もしてやるし、スカイプもあるだろ?寂しい思いはさせないよ…?」と囁きにしては大きな声で言った

「お前オンじゃあ"善哉"さん最優先じゃねぇか!
ダウト!全力でダウトォオオ!!」

「おふっwwwばれとる(^q^)www」

部長に回し蹴りを食らった
それと同時に俺が乗るべき電車がホームへと滑り込んできた


「…、まぁ、夏休みには顔出しに来ますから…」

「…当たり前だブサイク」

「お見送り、ありがとうございました
そんで、地区大会で会いましょう、今度こそ俺が勝ちますから」

「ん…、」


ぷしゅー
気の抜ける音と共に電車のドアが閉まった

部長が遠くなってゆく中
次第に俯いてゆき、腕で涙を拭う様が見えてしまって、俺も扉のガラスに額を押し付けて泣いた

俺には勿体無い、良い友人だった
唯一無二の親友とさえ呼べる程、波長の合う人だった

くれぐれも間違えないでほしいのだが、俺と部長との間に恋愛感情は無いんだぞ?
小中8年間を共にした友人との別れだから、こんなに悲しいのだ

車輪の歌が聞きたくなって携帯を引っ張り出すとメール着信を知らせて光っていた




ーーーー新着メール 28件





from:ぜんざい
sub:無題


なんでよりによって東京なん?
大阪来いやボケ










from:ぜんざい
sub:無題


一人暮らしなんやろ?
今からでも遅ないから大阪で住むとこ探ぜばいいっすわ

学校は四天宝寺がええですよ










from:ぜんざい
sub:無題






………………以下略
メルマガ二件にあと全部ぜんざい

ぜんざい必死過ぎて怖いんだけどwww


仕方がないので「まだ義務教育中だから"保護者"が必要なんだよ
大阪に身内はおらんから、無理っすわー\(・∀・`)」
とメールを打ち、おまけで
「部長が学校サボってまで見送りに来てくれた
一緒に抱き合って別れを惜しんだんだぜー」
と、良い友達がいるアピールもしておいたら10秒たらずで返事がきた


from:ぜんざい
sub:無題


浮気か死なすぞクソが部長の住所今すぐ晒し?悪いようにはせぇへんからな?
今すぐ晒し?ええこやから晒し?









「あひぃーっwww」

ヤンデレのぜんざいに愛されて夜も眠れない俺っすかwww

それにしてもやきもち焼きなぜんざいは可愛い
ガチで可愛い

目的の駅についたら電話してやろうと思い、返事はせずに携帯をポケットにしまい込んだ
幸い同じ東京都内に移動するだけだから30分もかからないよな?





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