03



私には なんの力もない
今日も歌うことしかできない


黒い夢の始まりは 誰かの手を握りしめる
温もりを感じた肌に 一顧の憂鬱
私の指は あるはずのない昨日に縋りついた

空に伸ばした指は 白い光を遮ることもなく
眩んだ視界に 一瞬の空白
私の指は 今日も届かなかった

白い壁を引っかいた爪は 血を滲ませる
痛み出した指先に 一片の満足
私の指は まだ明日のために足掻けた


この声は届かない
この指も
この祈りも 何もかも届かない
ムダなのかなって思いながら
今日も手を伸ばして 泣きながら歌うんだ


歌っても 泣いても 手を伸ばしても
今日は変わらない
明日は変わらない
けど 歌って 泣いて 手を伸ばしたら
今日は変わらなくても
明日は変わるかも
そう 歌って 泣いて 手を伸ばしたら
何かが変わっていく気がした
何かに届く気がしたんだ



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