センター試験ってこんなに慎重になるだなんて思わなかった。いや、受験者はもちろん、監督者が。
「受験番号二回も確認するとか」
「俺も吃驚した。ところで宮地、窓開けていいか?」
「いーよ。私も外の空気吸いたい」
室内はエアコンがついてる上に締め切られてる。おまけにこの人数、部屋が蒸してて嫌になる。
「すずしー。生き返る」
「部屋ん中空気悪ぃもんな」
私も宮地くんも席が一番後ろなので窓開けたい放題で助かる。二人して窓にもたれ掛かり外の空気を吸えば、肺の中が洗われる気がした。
「……あ、」
「ん?」
「俺ちょっと木村に用があったんだわ。行ってくる」
「おー、いってら」
ひらり手を振り教室を出ていく宮地くんを見送り一人席でお弁当を開く。さっちん居たら一緒に食べるんだけど、彼女下の階だから仕方ない。と、箸をつけようとしたところで腕を引かれた。
「あれ、宮地くん」
「弁当しまえ。下行くぞ」
「え、あ、はい」
なぜか戻ってきた宮地くんに言われた通りにお弁当をしまう。それを持たされ、連れられるがままに歩き始めた。
「木村、大坪」
「お、連れてきたか」
連れてこられた先は木村達のいる教室。こんなに動き回って大丈夫かと思いきや、意外にも席は空いていた。これでいいのか受験生。
「座ったらどうだ?」
「あ、うん」
大坪くんに促され、空いている席に座る。よく考えたら男三人に女一人とか何て言う逆ハー状況。フラグ立つんですかそんなまさか。
「次国語だっけ?」
「ああ、そうだな」
「宮地国語得意?」
「みゃーじさん国語苦手」
「逆に聞く、何が得意?」
「リスニングと生物」
「リスニングとか意外」
むしろお前全教科ダメそうじゃんなんて笑う宮地くんに、宮地正しいぜと頷く木村。その横で申し訳なさそうに苦笑した大坪くんまじいい人。
お弁当も食べ終わってしまったので、ちょっとその辺徘徊してくるとその場を後にした。
「……木村」
「言っとくけどあいつあれでモテるらしいぜ」
「ま、頑張れよな」
「おー……」
4
前/
次