お昼、なう。今日もなぜか宮地くんに連れられ木村たちとご飯。いやいいけどね。宮地くんとお昼とか至福すぎる。木村の差金だかなんだか知らないが、とりあえず木村、よくやった。
「……現金な奴」
「木村、なんかいった?」
「イイエナニモ」
鼻唄歌いそうになるくらいご機嫌でご飯を食べていれば、その様子を見た木村が一言ぽつり。仕方ないじゃないか。私は木村と違って、宮地くんに会えるのは昨日今日だけなのだから。
「宮地さ、なんでそんな機嫌いいの?」
「食べることこそ生きる幸せ」
「ああ……」
「楽しみがあるのはいいことだな」
咄嗟の答えに納得されてしまった。まさかそんなにあっさり受け止められるとは思ってなかった。というか、私食べるの好きそうに見えるのか、そうか。
「……木村」
「なんだ?」
「来週駅前のケーキ屋」
「なんで俺なんだよ」
「友達居ないからだよ」
友達ならいる。だけどさっちんはケーキあまり好きじゃないし、クラスの友達は一緒に行くほど仲が良いわけではない。
「あー、んじゃ宮地連れてけば?」
「は!?」
「迷惑っしょ」
「いや、宮地ならいくら連れてってくれても構わんぞ」
二人の宮地くんへの態度が何となく友達の私への当たりと似てる気がするが、気のせいだと思っておこう。というか、二人の意見はともかく、宮地くん本人はどう思ってるのだろうか。私としては嬉しいことこの上無いのだが。
「宮地くん甘いもの好き?」
「……別に、ふつう」
「ケーキ屋とかいける?」
「……お前がどうしてもって言うならいってもいいぜ」
「じゃあ是非お願いしたいんだけど」
「おー」
あれ、なんか一緒にいける感じ?
横目で木村を見れば、宮地くんには見えないように親指を立てていた。おいこら確信犯か。ともあれぐっじょぶ木村。
「あー、そうだ宮地」
「はい」
「試験終了後ケータイ貸せよ」
「……一応聞いとくけどなんで?」
「出掛けんのに連絡先ねーと不便だろ」
木村、もう一度言う。ぐっじょぶ。
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