二日目。宮地くんと会えるのもたぶん今日で終わりだから目に焼き付けておこうと思う。


「はよ、宮地」
「あ、宮地くんおはよ。木村と大坪くんもおはよー」


時間まで昨日と同じ場所でボーッとしていれば、頭に手がのった。振り返ってみれば宮地くん。その後ろには木村と大坪くん。


「友達は?」
「さっちんならあっち」


中学時代の友人とやらに出くわし彼女は、しばらく話してくると行ってしまった。受験生なのになんと緊張感の無いことか。


「あー、衣織。今日終わったら時間あるか?」
「あるよー。どうせ帰って寝るだけだし」
「んじゃ飯食いに行こうぜ?」
「木村と?二人で?」
「いや、このメンバーで」


わぉ逆ハーレム。木村はあれですね。この提案私の為ですねわかります。宮地くんと試験が終わってからも話せるチャンスをくれるだなんて持つべきものは気の利く友人だ。もちろん行くと二つ返事をしてやった。


「今日は友達いいのか?」
「さっちんとは今日別々に帰る予定だから大丈夫だよ」
「そうか。悪いな、付き合わせて」
「いや、むしろありがたいです」


大坪くんがいい人過ぎて衣織困る。そろそろ行くか?と時計を見た宮地くんに言われ歩き出す。というかさっちん置いてきちゃったけどいいか。


「で?今日の自信は?」
「あるように見えますか?」
「生物だけ」
「そう、生物だけ」


数学なんて糞くらえだわ。慰め程度に公式サラっと目を通してきたけれど解ける気なんてしない、しない。対数ってなんだ。三角関数ってなんだ。サインコサインタンジェントとか今後役に立つだなんて思えない。


「宮地くんどうしようわかんない」
「がんばれ」
「化学やりたくないよう」
「やれよ、轢くぞ」
「はい」


笑顔が黒かっただなんてそんなまさか。だけどそんな表情さえかっこいいだなんて、恋は盲目。いや、それでなくても宮地くんはかっこよかった。
さぞ学校でもおモテになるのだろう。私と宮地くんとじゃ釣り合わないだなんてわかってはいるけれど、想いは止められなくて。


「宮地?」
「え、なに?」
「いや、俺の顔ずっと見てるからなんか言いたいことあんのかと」
「あー、ごめん。ない」
「ならいい」


さすがに焼き付けるほど見ていたらバレるか。仕方なしに時計へ視線を移せばもうすぐ着席時間。大人しく生物の参考書でも開いていよう。


9



/


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -