「っはー……」


やっべぇ、なにこれ。思った以上に息が詰まる。いや、いい意味……なのか?


「つーか俺、今日おかしくねえよな?」


服とか態度とか。キョドってねえよな?あいつ何も言わねえし、たぶん大丈夫だとは思いたい。


「つーかあいつ可愛過ぎて死ぬんだけど」


私服姿はじめて見た。まじかわいい、撫で回したい。引かれるだろうからしねえけど。どさくさに紛れて手握ったけどあいつ嫌がってないよな……?


「あー……くっそ、情けねぇ」


女々しすぎるだろ俺。今日に関しても待ち合わせ場所に早く着きすぎるし、衣織が来たら来たで話しかけられねえし、乙女か。
はあ、と小さくため息をついて頬杖をつく。
恋愛ってーの、今までしたことなかったけど、こんなにつらいものだったんだな。


「ただいまです」
「おー、おかえり」


へらりと笑った衣織が向かいに腰を下ろす。そうそうこの笑顔、木村ん家で写真見てから、ツボなんだよな。


「……みゃーじくん」
「あ?なに?」
「いや、ずっとこっち見てるから何かいいたいことでもあるのかと」
「……別に、ねーけど」


そんなに見てたか俺。確かに可愛いなぁとか思ってたけども。笑顔目に焼き付けたいとか思ってたけども!あ、見てたわ。
それならいいんだ、とメニューに目を通す衣織。疑り深いやつじゃなくて良かった。


「宮地くんはどれにするか決まった?」
「いや、まだ。つかなんでもいい」
「んじゃ、これとこれ半部っこしよ」
「は!?」


いきなりの申し出に支えていた腕から頭ががくんと落ちる。いや、すげー嬉しいんだけど。


「あ、だめだった?ごめん、いつものくせで」
「や、別にいいぞ、それで」
「まじでか」


やったーと喜びながら店員を呼ぶ衣織。いつもの癖ってことは、木村ともこういうことしてるってことか……?やべ、今初めて木村になりてぇとおもった。


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