「うわあああああ」
「衣織うるさい」
「ごめんなさい」


家に帰るなり叫んだら弟に怒られた。弟なのに姉と呼んでくれない悲しさ。さっさと風呂入れば?と呆れた声で言われてさらに私の心は傷ついた。


「いいもんいいもん。あとでまとめて木村に愚痴るもん」
「あんま木村さんに迷惑掛けんなよ衣織」
「私より大人発言やめて」


なんとできた弟だろう。姉がダメだとああ育つのか。やめよう、虚しい。

お風呂入って、上がったら夕飯食べて、気付けば10時過ぎ。彼らは無事に家についたのだろうか。


「あ、メール来てる」


内容は帰ってこれたとのこと。早速電話してもいいものかどうか。とりあえずメールだけ返せば電話を掛けてくれる木村まじいい奴。


「きーむーらああああ」
『うるせーよ!』
「ごめんなさい」


出てすぐに叫んだら怒られた。勉強の合間に電話してもらっているのに申し訳ない。
で?と話を催促されたので、今度は叫ばないように口を開いた。


「清志くんかっこいいつらい」
『よかったな』
「ちなみになぜか手を繋いでしまった。あの憧れの清志くんと!」
『ボリューム』
「おっと」


興奮しすぎて思わず。隣の部屋から衣織うるさいと声が飛んできて弟にも聞かれてて衣織さんなにやってんだ。


『同じ教室なんだろ。明日も頑張れよ?』
「ありがとう!もうほんと、時間合わせてくれたり感謝しきれないのですよ」
『いーって、気にすんな』
「まじ木村いいやつ。清志くんが居なかったら惚れてたわ」
『はいはいさんきゅ』


持つべきものは優しい友人である。ほんとにありがと、また明日と通話を終え、ベッドの上で足をバタつかせ嬉しさを噛み締めていたら再び弟に怒られたのは言うまでもない。


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テーマ「人外ファンタジー」
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