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ゆるゆると、時間だけが過ぎてこの現状。数年前に会話した彼は元気だろうか。そう、たしか自分のことを神だと名乗っていた気がする。あの時は頭おかしいと告げたような気もするけれど。ああ、これから先、私はどうしようか。


「……予想は、してたんだ」


散らばる死体。燃え盛る炎。広がった光景を見据えてポツリ、つぶやく。
この世界に生を受けてから早7年。精神的には前世の記憶も受け継がれているので20は超えているのかもしれない。もっとも、過ごしてきた日々はほとんど空白で。


「空虚」


この言葉がきっと、一番良く合うだろう。散らばった死体は数時間前まで親しく話していた友人であり、家族であり。ああ、どうしてこうなったのか、隣に立ったこの状況を作った張本人を見上げた。


「どうした?」
「……なんでも、」


ないよ。告げて、目を伏せて、もう一度この光景を瞳へ映して。
ありがとう、そしてさよならを。私をここまで育て上げてくれた彼らに。血の繋がりはなくとも、大切な家族だった。それも、もうおしまい。


「……時間だ。そろそろ行くぞ」
「……わかった」


小さく頷いて、まだ小さな私の体がふわりと浮く。抱き抱えたまま、彼が歩き出すのをただただ見詰めて。遠ざかるあの村は、いつか誰かが気づいてくれるのだろうか、なんてどうでもいいことを考えて。


「アオイ」
「うん」
「お前は、何も知らなかった。いいな?」
「…………わかってるよ、お兄ちゃん」


最後に一度だけ、呼ぶくらいなら。



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