>> 11
12/20


「ふむ、もうそんな時期か」


少し離れたところでネテロさんが電話をしてる。その会話の一部が聞こえてきて、なんのことかと思った。彼はこちらをちらりと見て何かを思案し、すぐにまた通話相手に話しかける。そして、終わったかと思えば、修行中の私を呼んだ。


「なに、ネテロさん」
「すまんが用事が出来ての」
「用事?ハンター関係の?」
「ああ。アオイよ、ハンターになるにはどうするればいいか知っておるか?」
「知らないし知る気もないけど」
「ほっほっほ、まあそういうでない」


聞いてもいないのにハンターになるための説明をしてくれるとは何たることか。ゾルディック家の人間といいこの人といい、とことん私の周りの人間は人の話を聞かない人が多いようで。


「ふうん、試験とかあるんだ」
「本来なら実力さえあれば試験なんぞせんでもええんじゃがの」
「んじゃなんでやんの?」
「ライセンスを悪用する輩が増えてきとるからじゃよ」
「……ああ、」


なるほど。ハンターライセンスは持ってるだけで各公共機関がほとんど無料の上、売れば人生七回は遊んで暮らせるとこの間聞いた気がする。確かに悪用したくなるわけだ。


「それで?もうすぐ試験があるの?」
「そういうことじゃ。これでもわしはハンター協会会長じゃからの。最終試験で試験官をやる予定なんじゃが……」
「行ってくれば?別に私一人でもなんとかなるし」
「お前さん、サボるつもりじゃろ」


バレてるバレてる。いいじゃないか、いつもネテロさんの監視があるから滅多に休めないし、少し休んだと思ったらすぐに次の修行。これでもやることはちゃんとやるつもりだし、文句無いだろうに。


「そうじゃ、アオイもくるといいぞ。今後、ライセンスの取得に役立つじゃろうからな」
「……まった。私ハンターになるなんて言ってない」
「今はな。そのうち受けることになるじゃろうて」
「いや、ありえないし」
「ほっほっ、そうと決まったら支度せい。すぐに出るぞ」
「……ああ、やっぱあの家と同類か」


こうなったらもはやついて行く以外の選択肢は私には残されていない。少ない荷物を纏め、飛行船へ向かえば、既にネテロさんはそこにいた。っていうかあの人手ぶらかよ。


「ほれ、さっさと行くぞ」
「ふあーい」


楽しそうなネテロさんにため息。これもゼノさんがネテロさんに私のことを丸投げしたからいけないんだ。


「……帰ったらプリン買ってもらうか」


それだけじゃ私の気が収まらない気もするが、まあその時はその時で考えればいいだろう。



prev//next

戻る

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -