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「んー、いい素材だ◆」


ねっとりと舐めるような視線を向けられ眉をひそめる。なにより格好が不愉快だ。なんだ、ピエロみたいな格好して。


「ヒソカ、それ以上アオイに近付かないでよ。変態が移る」
「うーん、辛辣◆」


真顔で告げる彼も彼だが、悦の入った表情のヒソカさんはもっとあれ。おかしい。頭沸いてる。
顔をしかめたままに、ローテーブルにおかれていた紅茶を持ち上げ一口。温かさにほっとする。


「それで、念系統だっけ?」
「そ。アオイに色々教えなきゃいけないんだけど、俺そういうのわかんないから」


ゼノさんに連絡すればいいじゃない。こぼした言葉になんか癪だろと返されてものも言えやしない。頑固なのはシルバさんに似たのか或いは。


「……そうだね、操作系っぽい気もしなくもないけど◆」
「気だけ?」
「当たるのは大体◆これってわかる訳じゃないからね◆」
「ヒソカ使えない」
「イルミ、キミ酷いよね◆」


確かにイルミくんが頼った割りには酷い言い種だと思う。けどわざわざ来たにしては使えないのも事実。そんな意味を込めて視線を送れば、キミも大概酷いよねとのお言葉。考えを読まれてしまったらしい。


「イルミくん、アオイ別に系統とか知らなくていいよ」
「能力作るのに不便じゃない?」
「まだ作らないもの」


なにも考えていないし、考える気もない。どうせ、実践なんてもっと先のこと。あったところで、使いはしない。


「仕方ないな。あとでじいちゃんにでも連絡しとくよ」
「ねえイルミくん。アオイの話聞いてた?」
「プリンが食べたいんだっけ?」
「それ、昨日の話」


これだからマイペース人間は、と溜め息をついた私は悪くないはずだ。別にいいけど、と窓の外に視線をやって景色を眺める。見える町はまるでミニチュア。金持ちめともう一度出かけた溜め息を飲み込んだ。


「アオイちゃん◆」
「気持ち悪いんでアオイでいいです」
「やっぱりキミも酷いよね◆」


くつくつと喉をならして笑う彼とは目を合わせたくない。なぜ罵倒され悦ぶのか、私には理解できなかった。



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