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留守番するのは苦じゃない。けれどやることがなくなってきてしまうのは仕方のないことで。一人黙々とオーラを練ってはボーッとしての繰り返し。詰まる所、暇だ。


「イルミくん遅いなぁ」


こぼれた言葉は静寂に溶ける。拾う人の居ないこの空間が、やけに寂しく感じた。


「……纏と絶と、練、……あと、なんだっけ」
「発」
「……おかえり、イルミくん」
「ただいま。暇だったでしょ?」
「うん」


素直に頷けば微かに彼の表情が歪む。きっと、他の人にはわからない程度ではあるだろうけれど。
ぽんぽんと私の頭を軽く撫でて隣に腰かける彼は、仕事を終えたと思えないほど綺麗な格好をしている。仕事内容を殺しと勝手に決めつけた私も私だが。


「アオイ、どの位できた?」
「オーラを増幅させるのはできてると思う」


ほら。そう言ってオーラを最大限まで練ってみれば彼は驚きを。短時間でよくここまでできたね、とまた頭を撫でられる。


「そういえばアオイって何系?」
「……何系?」


言わんとしていることはわかっている。しかしここは私はまだ知らないことになっていたはずだ。とぼけたフリして聞き返せば「あ、そうか」と思い出したように誰かに電話を掛け始めた。


「もしもし、俺だけど。うん、ちょっと聞いていい?念系統ってどうしたらいいんだっけ?……性格?アオイ」
「なに?」
「アオイってどんな性格?」
「知らないよ」


前世込みで、自分の性格なんてよくわからない。よく言えば気紛れ。悪く言えば飽き性で理屈っぽい、何て言われたこともあった気がしないでもない。


「え、なに来るの?わかった、場所は……」


え、なに来るのは私の台詞なんだけどなぁ。
ソファに座ったまま裸足のままの足をぱたつかせ、ちらりとキッチンへ目を向ける。そういえば茶葉があった気がする。淹れよう。


「あ、アオイ。俺コーヒー」
「んー。あ、イルミくん、アオイ明日買い物いきたい」
「はいはい」


台に置きっぱなしにされていたコーヒー豆を取り出す。いい加減、淹れるのなれた。


「あ、あとさ」
「なに?」
「今から来るやつ、変態だから」


気を付けてね。真顔で言い放った彼に、溜め息をついた私は悪くない。



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