綱雪姫
2011/12/23 23:32

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白雪姫パロですさーせん←
あとヒバリさん出てこないですさーせん←←


























昔々、あるところに大きなお城がありました。
そこでは、毎日、大きな鏡に向かって、独り言を言うお妃様がいました。
お妃様は(中略)してこの城を手にいれ、毎日を優雅にくらしている方でした。
「クフフ……鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番僕に相応しいお嫁さんは誰ですか?」
お妃様が鏡に問いかけると、鏡の中に二人組の男が映りました。
どうやら、お妃様は独り言を言う変じ……もとい、寂しい人ではないようです。
「そんなのいないぴょん」
何処か犬っぽい人がお妃様の問いにばっさりと切りつけるかのように否定をしました。
「なんですって!?もう一度言ってみなさい犬!叩き割ってあげます!」
鏡を掴みながら大声で鏡の中にいる男を脅迫するお妃様。
それを見ていたもう1人の男は、ため息を吐きながらお妃様を宥めようとしました。
「落ち着いてください骸様……めんどい……」
「めんどい!?今めんどいとか言いましたよね!?」
「………」
鬼神のような顔で鏡の中の長身の男を睨み付けますが、男は呆れたような顔で黙りこくってしまいました。
「……まあいいです。とにかく何でもいいですから僕のお嫁さんを探しなさい」
「……なんでもいいなら、ありますよ」
「本当ですか!?」
藁にすがる亡者のように鏡に掴みかかるお妃様を見て、犬のような男は声を低くして囁くように名を告げました。

「ナッポーだぴょん」
「犬、刺しますよ?」
「じ、冗談だぴょん……」
間髪入れずに脅しを掛けたお妃様に、犬のような男はガタガタと体を震わせました。
「骸様、この人です……」
「ん?……おや、綱雪姫じゃありませんか」
鏡に写し出された姿は、お妃様のよく知る人物でした。
白い肌に紅色の唇、血色のいい頬、やわらかな髪、そして琥珀色の愛らしい瞳。
城の前のお花畑で楽しそうに花を摘む姿は、まるで天使であるかのような錯覚をもたらしました。
「綱雪姫……ああ、なんて可愛らしいんでしょう……!さすが、僕のお嫁さんに相応しい人です」
「綱雪姫ぐらいしか嫁いでくれないと思って言ったんですが……」
男たちのツッコミも、恍惚の表情を浮かべるお妃様には届きませんでした。
「とりあえず……挙式を挙げなくては……そして初夜……クフフ……楽しみですねぇ」
お妃様の声に答えてくれる者は既に居なくなっていて、鏡は光を反射するだけになっていました。


「…………大変……知らせなきゃ……」
お妃様の独り言を聞いた1人の兵士が駆け出したのにお妃様は気付きませんでした。


そんなことになっているとは露知らず、綱雪姫は平和に遊んでいました。
「これを……ん、こうして、っと……出来た!」
摘んだ花を編み込んだ不恰好なお花の冠を持ち上げて、ふふっと花が綻ぶように笑った綱雪姫は、とても可愛らしいひとでした。
「凪、喜んでくれるかなあ」
綱雪姫は自分の住んでいるお城の兵士を思い浮かべました。
藍色の髪に暗い紫の隻眼、右目は女の子には不釣り合いな黒の眼帯がしてある、なんとも不思議な少女。
大きなお城でいつもひとりぼっちだった綱雪姫には大切な友達でした。

「…………綱雪姫っ……!」
「あ、凪……どうしたの?」息も絶え絶えな凪を綱雪姫はなんとか落ち着かせようとしましたが、凪はそれを手で制しました。
凪は大きく深呼吸すると、真剣な顔で言いました。

「綱雪姫……あなたは、骸様に狙われてるの」
「……え?お義母様に?」
戸惑う綱雪姫の手のひらを包み込むようにして握った凪は、ひとつの提案を持ちかけました。
「綱雪姫、逃げなきゃ……此処に居ちゃ……駄目」
「……っでも何処へ……?」
「あそこの道を真っ直ぐ行って……クローム、って言えば匿ってくれるから……」
「凪は一緒に来ないの?やだよそんなの……!」
「大丈夫……後で迎えに行くから……だから、早くっ」
「……っごめん……!」
綱雪姫が走り去った後、ぐにゃりと空間が歪み、そこからお妃様が現れました。
「おや、凪ではありませんか。綱雪姫は何処ですか?」
「その質問には……答えられません……!」




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