ボンゴレファミリーに所属する人間の中で、初代ボンゴレボスの代からその血を受け継ぎ次世代へ繋げている、初代のボス以外の血族がある。


それは、初代“花”の守護者の血筋。


彼女の名は、羽音緋色。



当時、紅眼の巫女と謳われた彼女は、真っ赤に燃え盛る炎の色の瞳を持ち、ありとあらゆる妖怪を式とし、そして不思議な力を有していたといわれる。


ところが、後に彼女はある悲劇≠フのち、また違った名で世間に謳われるようになった。




初代の代以外に、花の守護者は存在しない。
今では彼女の血を受け継ぐものだけに伝わる、花の守護者という役割、その使命、そして彼女の存在。

この話は、彼女、羽音緋色がボンゴレファミリーに所属後、彼女がある件で亡くなるまでを語り紡いだもの。


ときに、彼女の血を継ぐ者が自らの子供…次世代の羽音緋色の血を受け継ぎし者にこの話を語るとき、


初代雲の守護者・アラウディの名が共に語られぬことはないという。




秘かに語り継がれてきた、花の守護者という役目。羽音緋色の存在。
それは、どの世代も聞き終えると涙が止まらぬほど、哀しく、つらいもの。


貴女がこの話を全て聞き終えたとき、その瞬間。
笑っていられるだろうか。



彼女が、確かにその時間に存在したということ。
彼女が、苦難を乗り越え手に入れたものの価値。
彼女が、どのような気持ちで最期を迎えたのかということ。


貴女の記憶に焼き付けて欲しい。
どうか、忘れないで欲しい。



これは、暗闇の中ひっそりと咲く花のような、そんな彼女の存在を記した物語。


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