「さぁ、いよいよ吸血ヒバリンと対決です」
そんな呑気な声のリボじいなど、脳の外。
彼女は、幼馴染の名前は無事なのか、否か。
もし本当に襲われていたなら、自分は彼女を救わなければ。
リボじいと話しつつも辿り着いた、広場のような場所。
どうやら、彼の帽子に変形したカメレオンが、超獣レオックスらしい。
それが産んだ卵が、スーパーパワーアップアイテム、モンモンキャンディー。
いざとなれば、それに頼るしかないだろう。
ふと、目の前に現れた人物。
「待っていたよ、怪物づかい」
そう、この人物こそが、倒さなくてはならない相手、
吸血ヒバリン。
その傍らには、よく見覚えのある、いや、見間違えるはずの無い、幼馴染の姿。
「あれ?ツナくん?」
なんとも呑気な。
不思議そうにヒバリンとツナを見比べる名前は、頭上にはてなを浮かべている。
「名前は下がっていて。あれは、僕が吸い殺さなくちゃいけない」
「えぇ!!?う、嘘!?」
「?…どうかしたの?」
道中で教えてもらった名前を口にするヒバリ(ヒバリン)。
驚きの表情を浮かべる名前に、今度はヒバリが頭上にはてな、だ。
「あ、えっと、その…
ツナは、あれは、あたしの、幼馴染で、その…
大切な人」
「!!!!!!!!」
名前の、「大切な人」という言葉に異常に反応するヒバリ。
ふつふつと湧き上がる胸の内のモヤモヤ。
幼馴染み?じゃあ、あいつは僕の知らない羽無も知っていて、
僕よりも名前のそばにいるってこと?
ヒバリの目の色が変わる。
同時に、ものすごい量の殺気が噴き出した。
「ひぃっ!!」
逃げ腰になるツナを、リボじいが一喝。
頼みのモンモンキャンディーは!?早く出してよ!!
恐怖に怯えたツナが必死にリボじいに話しかける。というか叫んでる。
ヒバリはそんな様子ものともせず、走り出した。
名前は唖然とした様子でそれらを見つめていた。
迫るヒバリ。
なかなか産まれぬ卵。
ついに泣き出したツナの口に、モンモンキャンディーが投入される。
ツナは瞬く間に「超死ぬ気モード・怪物づかいツナ」になった。
ツナがその炎を宿らせた拳を振るおうとしたその時、
パッカーン!!!
「吸血鬼なのに、なんでトンファーなのぉぉぉぉおお!!!!??」
顎にトンファーの一発を食らったツナは、山の向こうに消えていったのだった。
「つ、ツナくん!!?」
さっきツナがいた位置まで走り寄る名前。
清清しい表情のヒバリ。
「ちょ、ちょっとヒバリくん!!そんな、山の向こうまで飛ばさなくても!」
「大丈夫、そんなに強く当ててないから。死なない程度で帰ってくるよ」
「重傷は確定ですか」
怪物中でも最強無敵の、吸血鬼ヒバリン。
そんな怪物を手中に収めてしまう少女、名前。
リボじいは、にやりと口角を上げて、
「これからも楽しみですね」
と言い残して、ツナが消えた山の向こうへ消えた。
名前の家に後日からヒバリが同居し始めたというのは、また別のお話。
fin.
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bkm