お楽しみ頂けたでしょうか。
以上で、【walk with..】パラレル転生パロディ中編、【ゴーストと私】完結と相成ります。
設定ごみごみし過ぎ!誰が読むかこんなもん!と思いつつサイトでの連載を始めましたが、GCランキングからのアクセスが一気に伸びたり中編閲覧数がぐんと増えたりしたあたり、読んでくださった方がたくさん居たのだなぁと安心すると同時にとてもありがたいなぁと嬉しい気持ちでいっぱいです。
【純血なる愛を捧ぐ】に続いて、妙に込み入った話になりましたが、当初予定していた形にきちんと収まった上ほのぼの日常という長編では書けなかった部分をたくさん画けたので、自分としてはとても満足のいく終わりになりました。
基本中編にはあとがきを設けない方針なんですが、なにぶん私利私欲に走ったお話でしたので、読者の方々に感謝の旨をお伝えしたく……。笑
いつも視点をコロコロ変えて執筆するところ、今回はわざとほぼ全部サーシェ視点でのお話としました。
ダリルくん視点は敢えて7話だけに抑えましたが、1〜10話にかけても、ダリルくん視点のつもりで読んで頂けば色々気付くことがあるように仕掛けを含ませてあります。
もうひとつの楽しみ方として、改めて読み直して頂けたら嬉しいです。筆者冥利に尽きます。
BL要素全然入らなかったね。もっとダリルくんローワン好き好きでも構わなかったんだけどね。
人を選ぶお話でしたが、いろんなことに挑戦できたお話でした。BL好きさんにもNL好きさんにも楽しんでもらえていたら一番嬉しいです。
GCはジャンルの需要供給がガンガン減っていってるので、自給自足でこれからもたくさんお話を書いていけたらと思います。
また近々中編始められたらいいな。
最後に、最終話で人間関係がどうなったか、その後のローワン一家の小話なども添えておきます。
お楽しみ頂ければ幸いです。
【人間関係】※最終話時点
サーシェ:25歳
アンドレイ・ローワン:31歳
ダリル成仏後2年(サーシェ20歳)に結婚しました。苦学生ローワンさんは大学を卒業し就職、暇人奥さんも社員登用されて今は本屋さんの店長です。
ローワンさん今でも大学院に進みたかったと愚痴を溢します。貧乏夫婦。
ちなみにローワンさんは、ダリルくんが乗り移ったことで前世の記憶を取り戻しました。ダリルくんもサーシェも大好きです。
ダリル・ヤン:7歳
成仏後すぐに転生したと考えてください。ななちゅです。ななちゅで既に小生意気。
前世の記憶もゴースト時の記憶もしっかり残ってます。周りの子供達よか大人びてはいるけど、余計馴染めなくて寂しい思いをしてました。
日系アメリカ人夫婦の子供として転生しましたが、両親が事故死、前世の記憶を語ることから気味悪がられ親戚中をたらい回しにされ、現在に至ります。
嘘界=ヴァルツ・誠:29歳
相変わらずサーシェやローワンにはちょっかいかけてます。ダリル坊やが来てからはおちょくりが悪化して、お歳暮送り付けてくるようになりました。
自分のお仕事については一切明かそうとしませんが、一応表の企業でラスボス位置にいるそうです。部下の女の子が気に入ったようでたまにノロケてきます。
桜満集:24歳
楪いのり:25歳
こちらも結婚しました。集くんがもだもだし過ぎたせいで入籍は4年かかりました。
いのりちゃんはシンガーとして海外進出を果たし忙しくしております。集くんは現在映像会社に就職、勉強の毎日です。夫婦なのに軽く遠距離。でも幸せそうです。
でもちゃっかりいのりちゃんはサーシェとご飯食べたりちょくちょく連絡してきます。
ちなみに……
最終話で孤児院役員として元秘書エミリー、お役所役員としてヤン最高司令官が友情出演してます。
本編中には出しませんでしたが、いのりの従姉妹に真名お姉ちゃん(前世の記憶なし)、集の兄に涯さん(前世の記憶あり)が転生しています。集いのが夫婦になったことで二人は親戚同士になりました。良かったね涯。
【小話:家族と私】
〜時は流れダリル坊やは14歳〜
足音で息子の帰りに気付くと、私は流しの水を止め手を拭いた。仕事帰りに買ってきたケーキを用意してやろうと、食器棚に手をかける。
「ただいま!」
「おかえ……、ちょっと」
「なに」
「挨拶のキスは頬でしょ?」
中学生にもなると、あの頃とそう見てくれは変わらない姿になる。ダリルくん、いやローワン家のダリルは今日も内弁慶、いやいや家族愛たっぷりの愛しい我が子だ。
「いいじゃん!あ〜いつでも口にキスできるって幸せ」
「ダリル!キャラ!キャラ!」
「あっアンドレイただいま〜」
「俺も口なのか……」
今日は早上がりで私より先に帰宅していたアンディが、リビングで新聞を広げながら苦笑い。すかさずダリルはナチュラルにもくちびるにキスをする。まぁ元々恋人だったもんね、違和感ないよね。
「郵便来てたけど。……げっ、また嘘界!あいつ暇かよ!」
「そう言わない。見せて」
「ん。あ、ケーキ!」
「課題やってからだ」
「え〜、お腹ペコペコ!いいだろ、サーシェ?」
「ママって呼んだらいいよ」
「無理。絶対無理」
私の手からカスタードたっぷりイチゴタルトの乗ったお皿を奪い取ると、行儀よくテーブルについてフォークで頬張り始める。その辺は教えなくても昔から覚えているものらしい。
「今さらサーシェのこと母親とか思えないし」
「む」
「だって、何処に息子がいなきゃ朝起きれなくて部屋の掃除もろくにしなくて食事管理もテキトーな無趣味の母親がいるわけ」
「う……別に無趣味じゃなかったもん」
「食事管理は今もわりとテキトーだけどな」
「アンディ!ご飯抜きね」
「えぇ?俺だけ……?」
フォークに刺した大粒のイチゴをこちらに向けてくるので、伸びた髪を耳にかけながら口を開けるとなんとフェイント、イチゴはダリルの口の中へ。
む〜と睨めつけていると、腰を浮かした彼が再び口にキスをしてきた。押し出される甘酸っぱい果実。よりによって口移しである。
「……ダリル?」
「何?アンドレイもしてほしい?」
「あのな……サーシェ、ちゃんと噛んでから飲み込めよ」
「……私もう30のおばさんなのに」
「いい年の取り方してるよ、全然問題ない許容範囲内」
「父として息子の将来がひどく心配だ」
「また言ってる、僕この家絶対出ていかないってば」
「彼女出来たら報告してね……」
「彼女ォ?冗談やめてよ、吐き気がする」
変な話、ダリルは私とアンディを最愛の家族として見つつも、最愛の恋人として想ってくれているわけで。
息子であり想い人、旦那さんであり元彼(?)。家族仲が良すぎるって変な噂が立つ度に、母という立場上色々苦しい目に遭うのだけど……そんなこと気にしていられない。
「ダリルのばか……」
「ね?アンドレイもわかるでしょ?こんないじらしい母親いてたまるかって話」
おばさんになってまでこんなことで照れてしまう自分が恥ずかしい。真っ赤になった顔を手のひらで覆っていると、アンディがダイニングまでやってきて頭を撫でてくれた。
「可愛いな、うん。確かに」
「アンディ!」
「……アンドレイ、サーシェにばっかり甘いよね」
「あ〜ほら、ダリルも撫でてやるから。不貞腐れるなって」
恋人以上、家族未満。
公式二股、みょうちきりんな三角関係。
いろんな言い方があるけれど、私はいま大好きな二人と一緒で、おはようもおやすみも言い合える素晴らしい毎日を過ごしています。
END
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bkm