豪炎寺と風丸の炎の風見鶏練習用のボールを出す。しかし見事と言うべき命中精度だ。そしてそれを受け取る守も凄いと思う。
監督がもう一回と指示を出した。私は二人が準備を整えたのを見てボールを蹴り上げる。この球だしでだいぶ私のコントロール能力が上がったと思う。
空中に上がったボールは二人のキックでまるで吸い込まれていくようにゴールに向かっていく。それを守がゴッドハンド。勢いで押されつつも守がラインギリギリで止めた。でも守の手の中のボールは煙をあげていて、とれだけの勢いだったかよく解る。

腕組みをしていた監督が腕を解いて休憩を告げる。それに返事をするとフィールドにいた三人はベンチの方に向かう。遠くにいた奴らも、近くにいた奴らも走ってベンチに行く。

何となく走っていくのも微妙だったので、球だしするために持って構えていたボールをリフティングしながら進む。その途中で空中に上がったボールがいきなり消えて、目の端に青いマントが見えた。

「邪魔しないでよ鬼道」
「休憩中くらい休憩したらどうだ?」

後ろを向けば横を文字通り風のようにすり抜けた鬼道がいて、鬼道の利き足の下に私が使っていたボールがあった。 抗議する私に鬼道は持っていたボトルを差し出す。
喉は渇いていたから、お礼を言って受け取る。鬼道がボールを宙に蹴り上げて空中で蹴ると、ボールはボールを入れてあるカゴの中に入った。

「ナイスシュート」
「豪炎寺達はどうだ?」
「私は伝説のイナズマイレブンの炎の風見鶏を見たわけじゃないから言い切れないけどいいと思うよ。威力も精度もますます上がってる」
「そうか」
「鬼道の調子は?」
「まぁまぁだ」

一ノ瀬とのツインバーストをチラリと見たけど、威力はまだ鬼道が帝国にいたころのビデオで見たものと変わらない、むしろ威力が上がっている気がする。

ベンチに向かいながら二人で話していると、ベンチの方から笑いが沸き上がる。
どうやら二人で話し込んでいる間に夏未ちゃんのレモンの砂糖漬けが配られているみたいだ。

「ま、次の試合での活躍を期待してるよ」
「あぁ」

鬼道が口角を上げる。鬼道は期待を裏切らないからきっと次の試合も決めてくれるだろう。
そう思いながら、鬼道と一緒にレモンの砂糖漬けを奪い合う中に入っていった。


フィールドの君
(一瞬思い浮かんだのは青いマントをはためかせてゴールを決める君)
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09/01/21 緋色



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