「それはただの依存や」
志摩のいつものふざけた声音じゃない、雨の音にも負けない静かな声。
「…違います」
「やめろ!雪男も志摩も」
その声を聞いた雪男は苦虫を噛み潰したような、そんな表情をしてホルスターから抜いた銃を燐と志摩、正しくは志摩に向けた。
志摩の腕の中で燐は二人を止めようとするけれども、二人はまったく聞く耳を持たない。
むしろ雪男は、燐が志摩の腕の中にいること苛立ちがつのる。
それに気付かないで燐は志摩に抱き締められたまま、弟に必死に呼びかける。
いつ雪男がトリガーを引くかわからないこの状況で、志摩は笑顔を見せる。
「奥村君は…燐は俺がもらいますわ」
「兄さんは渡さない!」
パァンと銃声が響いた。
27.奪う
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どっちが奪ったんでしょうね。
恋する動詞111題でSSS
お題:)確かに恋だった様
11/10/25 緋色来知
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