「兄さん!」
怒らせてしまったのか、鋭さが混ざる雪男の声に、燐は肩を揺らす。
だって仕方ないじゃないか。雪男が構ってくれないのが悪いんだとか、心の中で言い訳をする。
自分でも気付かないうちに下がった尻尾。
雪男がため息を吐くので、また肩が跳ねる。
「兄さんは……いつもどうして……」
雪男がのばした手が燐の頬に触れて、撫でる。
その心地よさに思わず、雪男の手に自ら頬を擦り付けると、雪男は目尻を下げて優しい笑みをする。
「これが終わったらちゃんと構ってあげるから」
雪男の一言に少し悩んでから、仕方がないと言うように頷くと雪男はえらいえらいと俺の頭を撫でた。
構って
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11/05/16 緋色来知
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