「はよ、あがればええねん。雨なんて」

縁側に座った柔造の膝に頭を乗せた、つまり柔造の膝を膝枕にしてゴロゴロしている金造が心底嫌そうに呟いた。

しとしと、と強くはないが降り続ける雨。
本を片手に読書していた柔造は本から膝の上の金造に視線を移した。

つまらなそうに外を見つめている金造の髪を手で梳けば、金造は寝返りを打つように、柔造の方に身体ごと向く。

「柔兄やっていややろ?」
「俺は好きやけどな、雨」
「なんで?」

どうも自分の気持ちと、兄の気持ちが同じであると思っている節がある金造は、柔造の言葉に何度か目を瞬かせる。

「やって、雨の日は金造が俺の傍にいてくれるやろ」

別に雨以外の日が来ないわけじゃないが、雨の日は絶対に柔造のところに来てくれる。

柔造の言葉に口をポカンと開けて間抜けな顔をしていた金造は真っ赤な顔を柔造に見られたくないのか、また身体ごとを外を向く。
けれども、金色の髪からのぞく耳が真っ赤で、いつもは負けている気がする金造とのやり取りに勝てたような気がして、心の中に少しだけ優越感が漂う。

「……これでも柔兄に遠慮しとるんやで」
「なんや?」
「なんでもない」

金造が何かを言ったが聞こえず聞き返すが、誤魔化される。
どアホの金造のことやから大したことやないやろ、と思い、本に視線を戻した。



雨、雨、雨
--------------
11/05/20 緋色来知


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -