『……寂しい』
「え?兄さん今なんて言った?」

悪魔を退治する片手間に、ただしくは携帯で兄と会話する片手間に悪魔を退治していた雪男は、携帯越しに聞こえる兄の声が自身の撃った銃声で聞こえず聞き返した。

遠くでシュラが何か文句を言っていたが、雪男は素知らぬ顔で、黙り込んでしまった兄にもう一度促す。

「兄さん」
『だから寂しいんだよ、雪男がいないと!!』

携帯越しだと言うのに、怒鳴るように燐は言い乱暴に通話を終了させる。
雪男と言えば聞こえてきた言葉に、思わずトリガーを引く手が止まった。

「雪男!」

シュラが動きの止まった雪男の名前を叫ぶ。
格好の獲物となった雪男に牙を向けた悪魔は、その牙が雪男に届く前に身体に穴が空いて、霧のように消え失せた。

消えた悪魔に、雪男は眼鏡をクイッと上げると、シュラを見る。

「大丈夫か?」
「ええ。それより早く終わらせて帰りましょう」
「今まで電話していた奴のセリフか!!」

雪男は正論を言ったつもりだったのに、わざわざシュラが雪男の元に来ると、雪男の頭に拳骨を落とした。


誰か殴れ、こんな奴
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自分の雪男のイメージ(笑)
11/05/22 緋色来知


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