姉さんの留めた前髪が可愛らしい。
それが勝呂君から貰ったものでなければもっと可愛かったのに、なんてどうしようもないことを考えてため息を一つ。
今さら自分からプレゼントするのは、なんだか勝呂君に対抗しているような気がして、女の子が好むような可愛らしい店に並んだピンを見てまたため息一つ。
授業の合間にしえみさんが新しく買ったの、と僕に見せたピンを見てまたため息一つ。
「そんなに悩むなら買ったらどうかな?」
「……それが出来ないからため息ついてるんですよ」
ため息の理由を知ってるしえみさんはそう言うけど、それが出来なくてまたため息一つ。
幸せが逃げていくなあ、って他人ごとのように思いながらまたため息。
教室で勝呂君達と笑う姉さんが眩しくて眩しくて直視出来なかった。
ため息一つ
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11/05/22 緋色来知
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