「暑い…」
「そうやねー」

志摩と燐は二人で、木陰のベンチでささやかな涼をとっていた。

何かがこれほどまでに太陽を燃えさせるのか、はたまた地球温暖化という地球の危機のせいか、恨めしい程熱い太陽に温められたアスファルトは、ある意味悪魔より恐ろしく、じわりじわりと二人の体力と気力を奪っていく。
汗のせいで制服までびしょ濡れで、かいた汗がベタベタとしていて気持ち悪い。
それでもお互い、寮に戻る程の元気はとっくの昔に奪われて、ただただこの暑さが和らぐのを待っている。

「暑いなぁ」
「ならこの手離せよ」
「燐は離してもええの?」
「………」

ただでさえ暑いのに、何を思ったのかさっきから志摩は燐の手を握ったまま。
おかげで燐の頭は別の暑さで沸騰しそうだ。

暑いなら離せばいいのに離せなんて言えなくて押し黙った燐に、志摩は笑みを浮かべて、燐は可愛らしいなぁ、と、どっからどう見ても可愛いという言葉が似合わない燐にいつもの言葉を嬉しそうに呟いた。


暑い
--------------
11/06/25 緋色来知


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -