雪男と二人、買い出しにいくため、寮の階段を降りる。
はやる気持ちを表すように燐は雪男の先を歩く。
後ろを歩く雪男の方を向きながら、歩いていると雪男は全くと言わんばかりにため息を吐く。
「危ないよ、兄さん」
「大丈夫だって、うおっ」
大丈夫だと返事をした途端に踏み外して、バランスを崩す。思わず目を瞑ったけれど、腕を掴まれて後ろに身体を引かれた。そのままよく知っている腕の中に抱き締められた。
「だから言ったのに……」
呆れた、と言わんばかりの声で燐を抱き締める雪男に、燐は真っ赤な顔を隠そうと雪男の胸に顔を押し付けた。
幸い雪男は燐の様子に気付いてないらしい。
「……メガネのくせに」
「何か言った?」
「何も言ってねーよ」
メガネの癖にカッコいいんだよ。
16.ときめく
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11/04/30 緋色来知
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