晴れ渡る空にチャイムの音が響く。 その日は出掛けるのに最適な空模様だった。 ちょうどCDも欲しかったし、放課後に銀夜を誘ってちょっと遊びに行こうかな、うん。本当はサボってもいいけど、夕美にバレたらきっと怒られる。 「あ……と、ええっと、ごめん師匠!今日はちょーっと先約があって……うん、」 なのに放課後に声を掛けた銀夜から返ってきた返事は予想外なものだった。 「ほんっとごめんなさい!今度絶対埋め合わせするからな、うん!」 手を合わせて頭を下げる銀夜に曖昧に頷き、「じゃ!」と風のように去って行ったそいつを追い掛けるなんてもちろん出来ず、今からの行動を心に決めた。 「で?ストーカー?」 「尾行って言えよ、うん。銀夜がオイラの誘いを断るなんて今までなかったんだぞ!うん!」 冷たい目で見てくる旦那を心からスルーして先を歩く銀夜を目で追う。 「愛想尽かされたんだろ」だの「お前が引っ張ってくるせいで夕美が……」だの言ってきたが、それらも全部無視してやった。 それからしばらく歩いたが着いた先は駅で、どうやら待ち合わせのようだった。 しばらく近くにある円柱の隅から見ていると、銀夜に近付いていくオールバックの男がいた。ナンパだったら殺すナンパだったら殺すナンパだったら木っ端みじんに爆る。 「待たせたかァ!?銀夜!」 その男が銀夜の名前を呼んで、そちらに顔を向けた銀夜が笑ったとき、オイラの中で何かが砕けた音が聞こえた。 「たっだいまあ〜!」 バンッ、と開けられた男子寮のある一室。 その中で、少なくとも銀夜が確認した分には、床に突っ伏す屍らしきものが二体あった。 「ぎゃあああ!!師匠!!?誰にやられたんだ!?サソリか!?サソリなのか!!?え!?なんでサソリまで死んでんの!?」 部屋に飛び入り半狂乱で叫ぶ銀夜に、近くの部屋の者達は次々と顔を出す。 開け放した扉からわらわらと覗く男子寮の面々に気付いてもない銀夜にやっと意識を取り戻したのはデイダラが先だった。 「師匠ぉぉおっ!!」 起き上がろうとしたデイダラに銀夜が渾身の力で抱き着く。 デイダラは状況理解が追いついていないもののとりあえず銀夜を抱きしめ返した。 「銀夜……、銀夜ーっ!」 「師匠ぉーっ!!」 青春真っ只中な二人に周りが冷めた顔を始めたところで、さっきまで倒れていたサソリがむくりと起き上がった。 サソリは今までにない恐ろしい顔で二人を一瞥し、にっこりと微笑んだ。 「砂鉄時雨ぇえええ!!!!!」 次の瞬間には、さっきまでとは違うペアで二体の屍が出来上がっていた。 「旦那……なんで…このタイミング……」 「サソリ……元ネタは…だめだろ………」 サソリは倒れている二人の上に座り明らかな嘲笑で二人を見下した後、銀夜に向かって言い放った。 「今日一緒にいた男は誰だ……。殺す……まじ殺す………傀儡にしてやる……」 「サソリぃぃ……元ネタまじ自重………」 デイダラだけでなく、サソリまでもがここまでキレているのには理由がある。 放課後に会えなかった夕美があのすぐ後に合流し、銀夜と同じようにあの銀髪オールバックの男に楽しそうに笑いかけたのだ。 「…っていうか……今日一緒にいた男……って、」 デイダラがごくりと息を飲む。 だが次の瞬間に銀夜から発せられた言葉はあまりにも予想外のものだった。 「兄ちゃんのことか?うん」 いつの間にか銀夜の叫びに部屋を出て来たギャラリーも消えていて、後にはきょとんとした顔の銀夜と驚愕した顔のデイダラとサソリがいた。 「銀夜のお兄様だと……?うん」 「ということは夕美のお兄様…!……いやだ…!あんな馬鹿そうな奴が俺の兄になるのか!?」 「ということはオイラの兄になる人か!?うん!!」 二人とも結婚する気満々かよと心の中で慣れないツッコミを入れてから銀夜は笑う。 それを見てから二人もつい吹き出した。 くだらない結末すぎて (ちなみに名前は飛段だぞ!うん!) (その名前聞いたことあるぞ?うん) (この学校のOBで有名な問題児だったって) (すごいなDNA) |