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愛と偽りの口 臨也視点


愛を求める喧嘩人形。
それが気になって、気になって。
近付いて、恋をした。
何度も何度も何度も愛の言葉を繰り返してやっと手を取ってくれた彼は、それでも一度も、俺に愛の言葉を言ってくれたことはない。

愛に飢えた喧嘩人形。
そんな彼が好きで好きで好きで。

ねえ、君はまだ俺のことが嫌いかい?


「ねえ、シズちゃん……。俺のこと好き?」

今日も俺は彼に聞く。
毎日聞いても答えが変わることはない。

「……好きじゃ、ない」
「ひどいなあ。俺はこんなにもシズちゃんが大好きなのに」

床に座る彼をソファに座る俺は後ろから抱きしめる。
自販機を投げる程に常識はずれの力してるくせに細い身体。暖かい体温。
全てが愛おしいのに、彼が吐く言葉はそれだけ。
好きじゃない、愛してなんかない、俺が好きという分、彼は逆の言葉を吐きつづける。

「愛してるのになあ、シズちゃん」

おちゃらけて笑うことしかできない。
愛しているのに、愛おしいのに、

「嘘、ばっかり」

どうして信じてくれないかなあ。
何か呟いたのがわかったけれど、聞くことはできなかった。


あと何百回愛してると囁いたら、君は信じてくれるのだろうか。
あと何千回抱きしめたら、君は好きだと言ってくれるだろうか。
あと何万回、あと何億回、あと何兆回、何をしたら、君は俺に愛してると言ってくれる?




信じてくれない愛の言葉
(信じてよ、愛してる、)