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ほら、よくあるカップラーメン。
あれの一分でできるやつあるじゃない。
それを今、シズちゃんの家で作らされている。
カップラーメン作って、という可愛らしいお願いになんで俺がそんなことしなきゃならないのと返した直後のじゃあ帰れとかいう無情な言葉で可愛らしいお願いが命令へと早変わりしたわけだけど。

「いざやあ、一分経った」
「もう?」

一分、つまり60秒。そりぁあ時間にしたら短いがお湯を入れてからまだ30秒も経っていない気がする。
まさかシズちゃん。

「携帯で時間見た?」
「はあ?そうだけど何」

はやくカップ麺、そう言うシズちゃんは可愛いしカップラーメン食べる前にむしろシズちゃんを食べたいわけだけどとりあえず我慢する。

「…あのさ、文字盤の時間は進んだのかもしんないけどそれは見始めた時間によるんだよ?」
「はあ?意味わかんないんだけど」

……確かにこの説明でわかるなら始めから20秒ちょっとで一分経ったなんか言わないか。うん、確かに。

「例えば、例えばだよ?20分になってから30秒経って携帯を見ても20分には変わりないよね」
「?一分経ってないからな」
「そこで俺が一分見てって言うとして、21分になったときにはまだ30秒しか経ってないわけだ」
「?おう」

シズちゃんはこの華麗なる説明を聞いておきながらだから?と言わんばかりに座った状態のまま俺を見上げている。
だからまあつまり……

「……もういいや。これで一分経ったでしょ」

相変わらず疑問顔のままのシズちゃんを放置して、軽くため息をつきながらカップラーメンのふたを開ける。
まったく、つくづく面倒臭い恋人だ。



時間は正確に見ましょう
(臨也、これちょっと伸びてる。お前がぐだぐだ喋ってたからだぞ)
(……)
(死ね)