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つまらないものに捕われていた、つまりはそう思うべきなのだろう。
確執、固執、執着……何と言えばいいのか、俺にはよくわからないけど、一つだけわかるのは、きっとよくない感情だと言うこと。

「…君のことが欲しいんだよ」

口に出せばこんなにもすんなりと受け入れられたこの言葉を、どうしてこんなにも自分は拒否していたのか。
見つめる先には高校時代の彼。写真なんかに興味はなかったけど、新羅がせっかく僕が撮ったんだから!と押し付けがましく無理矢理渡してきたその写真には仏頂面の彼と、呆れ顔のドタチンと、それから俺がいる。

彼が愛おしいと思う。
人間を愛する俺が、誰か一人に向けて……あの彼に向けて、こんな感情を持つなんていささか信じ難いが、それでも、そうでなければ説明がつかないのだ。
シズちゃんを思うだけで心臓の辺りが暖かくなって、同時にツキンと痛む。
あまりにも馬鹿らしくて笑ったら、もっと胸が痛くなった。

化け物、そうやって嫌ってきたくせに。

今更だ。今更すぎて、少しだけ泣きたくなった。
どうして俺がこんな気持ちにならなければならないのか。全てあいつのせいなのだ。

「愛してるよ…シズちゃん」

だから君を貰いに行こう。
泣かれてしまったら悲しいから、どろどろに甘やかして君が俺を受け入れるまで待とう。そうやってなんにもわからなくなったら、そしたら、

「もう、俺のものだろう…?」

見つめていた写真をデスクに放り投げて、真っ黒のコートを羽織る。
行き先は彼の元。


迎えに行くから待っていて
(思考なんて、奪ってあげる)