第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -


甘い甘い香りを部屋中に満たしながら作られていくお菓子の数々に視覚と嗅覚だけでお腹がいっぱいになる。
台所のテーブルがお菓子だらけになるくらい並べられたケーキやらクッキーやらは全て俺が作ったものだ。
準備は万全。これでこんなあいつの恰好の的みたいな日に、悪戯なんて不愉快なことされないで済む。

ふう、と一息ついた所で開く鍵もかけていたはずの扉に今更驚くこともなく、ばたばたと足音が近付いてくる。
ドキドキと跳ねる心臓はやっとあの男を出し抜けると期待に満ち溢れていた。
だからこそ、そのお菓子を盾に待ち構えていた俺の予想が一言で却下されることになるとは思ってもみなかったわけだ。

「シズちゃん、ハッピーハロウィン!トリックオアトリック!!」

どうやら選択肢なんてなかったらしい。


甘い甘い香りが部屋中に満たされているのにお菓子の数々には目もくれないその恋人は笑顔で俺に近付いてくる。
台所のテーブルがお菓子だらけになるくらい並べられたケーキやらクッキーやらの全てが手作りなんて本当に馬鹿らしい。
準備は万全で、これでこんなあいつの恰好の的みたいな日に悪戯なんて不愉快なことされないで済むはずだった、はずだった、のに。

「俺がそんな優しく、いたずらかお菓子か選ばせてあげると思った?」

にこりと笑って、ああもう魔女よりもタチが悪い!




アンタイトル
(作られたお菓子はシズちゃんと共に臨也がおいしくいただきました)
(なあ…、ハロウィンってなんだっけ……)