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ころす、ころさない、ころす、

小さい声で呟きながら、一言ずつ一歩足を進ませる。

ころさない、なぐる、ころす、

こうやって俯いて歩きながら、何かに当たって進めなくなったとき、その時あいつへの何かを決めようとしていたのだ。

ける、ひょーしき、じはんき、やっぱころす、ころさない、

どこまで進むかなんて決めていないし、何にぶつかったらやめるかも決めてない。
とりあえず何かに阻まれたらそれで終了。
最後に言ったもの、か、一文字でも言えてたら次の、言い切れなかった方にしよう。

ころす、たたく、なげる、すきになる、やっぱむり、じゃないかも、なげる、

ぽつりぽつりと呟きながらゆっくりと足を進める様は端から見ればおかしな光景だったと思う。
やめるつもりなんかさらさらない、けど。

なにもしない、なぐる、ころす、むしする、き…

そこで、ドンと何かにぶつかった。
無機質な壁などでなく、暖かい人の体温。

「なーにぶつぶつ言ってんのさ。怖いよ」

黒い服に身を包んだそいつ。
今言おうとしたのなんだったっけ。


次の瞬間、見えたのはめったにお目にかかれない驚きすぎてほおけた顔だった。まぬけだ。

「な……!?な、なんで、キス…とか…!!」

ああ、面白いかも。なんて笑ってしまうと、一瞬にしてムッとした表情に変わった臨也に反撃をくらった。




意味なんてないの、
(自分ルールは守るべきだろ?)