「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


『ごめん、今日行けなくなった』

待ち合わせ場所でそのメールを確認して、30分前から待っていた自分を殴りたくなった。
珍しくおしゃれとかしてみてやったのに。
俺はメールに返信もせず携帯を閉じた。


「あれ、静雄。今日休みじゃなかったか?」
「…ドタキャンくらいました」

上司の不思議そうな顔にいつも通りのバーテン服に着替えた俺は小さくそう呟く。
きっと今日もか、とか思いながらも気付かって何も言わずにいてくれてるんだろう。

「そか。じゃあ今日も行くべえ」

頭をぽんぽん、と二度叩かれてちょっと泣きそうになる。
ただの上司がこんなに優しくしてくれてるってのに、あいつは。
今日で、ドタキャン、連続5回。


『今日は本当にごめんね。急に呼ばれちゃって……』
「今日も、だろ」

待ち合わせをドタキャンした男から深夜に電話がかかってきて、しばらく無視していたらしつこく鳴りつづけるもんだから3回目に出てみたら今日で5回目のその台詞。
もうさすがに我慢出来なくて出た自分のその言葉に一瞬で自己嫌悪して電話を切った。
電源も切って、机に突っ伏す。

「最悪だ、俺……」

臨也が忙しいのはわかってるのに。
会ったときにはちゃんと大切にされてて、その分ドタキャンされただけだ。

「謝るのは、しゃくだなあ………」

はあ、と大きくため息をついて、そこで眠気に襲われた。
明日、明日、ちゃんとメールしよう。