婆沙羅 | ナノ




「竹中殿と毛利殿を置いて行ってしまったが、大丈夫で御座ろうか…」

「Ah?まだそんな事を考えてたのかよ。Don't worry,アイツらはすぐに死ぬ奴等じゃないぜ」

「多分アイツら二人で別の回路見つけようとしてんじゃねーか?」

「Ha!違いねぇ。アイツらPride高そうだからな。ま、俺達は俺達で中にいる(実はまだいない)猿とさっさと合流すればいいだけの事だ」

「そうで御座るな。しかしその当の本人である佐助はちゃんと入る事が出来たであろうか…」

「さぁな。ま、アンタはアイツの腕を信じてやりゃいい。you see?」

「お、入口発見!なんだぁ?あんな戸を開けっ放しにしやがったら泥棒でも入っちまうじゃねーか」

「長曽我部殿、もしや佐助が先回りして開けてくれたかも知れぬで御座るな」

「…Ah…?」

「とりあえず中に入っちまうか。先入るぜ」

「Stop元親!無暗に近付いたら…」





ドベジャ





「ぐわぁぁあ!?」

「長曽我部殿!?」





第三話
 「結界と私と鼻血と」







「Oh…やっぱりな。どうもおかしいと思ったぜ」

「ぐぉぉお…は、鼻打った…!!」

「ち、長曽我部殿ご無事で御座るか!?」

「さっきチカッと妙な物が見えたからきっと見えねぇ壁でもあるかと思ったら、ビンゴって訳か」

「!?長曽我部殿、血が出てるで御座るぞ!!」

「チッ、マジかよ…!」

「Ha!未来つーのは見えない壁を作れる様になったって事か。なるほどな」

「お前何冷静に状況判断しやがるんだ!ちったぁこっちの身の心配しやがれちくしょうが!」

「Oh,Sorry.だがそんな間抜けな顔されて怒鳴れても鬼の威厳も糞もないな。Coolになれ元親」

「るせぇ!つーか日本語話せよ!」

「お、落ち着いて下され長曽我部殿!まずは先にその血を止めるが先決で御座る!政宗殿もあまり長曽我部殿に挑発をなされるな。余計な血が出てるで御座るぞ」

「Shit.まさか幸村に叱られるなんてな。だが今の台詞、猿が聞いたら一体どんな反応をするんだか」

「いつつ…大方、『旦那がまともな事言った!』とでも言うんじゃねーか?」

「む」

「悪かったな元親。ほら、これで良ければそれ使え」

「悪ぃな」







別々に別れた内の三人、長曽我部元親、真田幸村、伊達政宗は今彼らが居る場所は何処かの縁側にある所にいた

先に別れた猿飛佐助との合流する為に各場所初めて見る物そうでない物に驚き感動しながら歩いていたら、庭だと思われる広い場所に入った。その広さと手入れがされてある美しい光景に感嘆を漏らしていたら、先に元親が入口を発見した。何の警戒も無く近付こうとした元親だったが、異変に気付いた政宗の制止の言葉を聞かずそのまま見えない物体に激突






「長曽我部殿の血が空中で止まっている!?」

「うわ気持ちわりぃ!」

「いや、気持ち悪いってお前の血だろ」

「まるで見えない壁に血がべとりと付いている様に見える。某は分かるぞ、よくお館様との殴り合いで佐助の血が壁に付く時の血の付き方を!」

「感動している所悪いが俺さっきそう分析したんだが」

「おいおい、何でも殴り合いに猿の血が壁に付くんだよ」

「うっかりお館様と間違えて佐助を殴ってしまう時がある!それはそれは弧を描いて血が出て佐助は遥か彼方に飛んでいく姿は見物で御座るぞ!一度そなたらも拝見してみると良いで御座る!」

「…No thank you.」

「酷い上司がいたもんだな」





少しだけ佐助に同情をした政宗に元親。よくここまで生きてこれたなと思う。忍だからもあるが、人間的によく堪えれるなと我ながら尊敬通り越して哀れに思った

その頃佐助は「ぶえっくしょいあーちくしょう!」と大きなくしゃみをしていた






「んで、こりゃ一体何だ?」

「壁だな」

「壁で御座るな」

「壁にしては…ガンガン!…へぇこいつは頑丈に出来ているな。マジで壁叩いている様だぜ」

「結界、つーもんなのか?」

「ぬ、目をこしらせば向こうが見えるで御座る。…何やら見知らぬ物が置いてあるで御座るぞ」

「見えるっつー事は結界じゃないかもな。実際俺らの姿が見えるし、こんな在り来たりな結界はないだろ。ま、専門外だから分からねーが」

「佐助なら分かるかも知れぬ」

「忍だしな」

「きっとこの結界の事でも調べているんだろうな。…つー事はアイツが先回りして入口見つけ出すだなんて無理な話じゃねーか?」

「残ったお二方も、この結界とやらに遭遇しておるのやも知れぬ。…やはり此処は一つ、全員で合流してから考えるのが一手かと」

「…チッ、やっぱりそうなるのかよ」

「そもそも俺達は猿と合流する為に此処に来たんだ。一旦此処から立ち去って別の場所にでも行きゃいい。…つーことだ。さっさと此処から立ち去る。you see?」

「うむ」

「おい、元親。結界に付いているお前の血、どーすんだよ」

「あ?…あー、ほっとく」






元親が鼻を痛めて結界に付けた血をほっぽったまま、三人は一旦その場から離れる事にした

この敷地内はとても広いと改めて実感した。庭は自分の城と同じ位に広く整備されてあり、未来の物一色があれば一見自分の世界と同じ物があった。未来は昔の風流を残しつつも現代社会の新たな物を取り込んでいるんだなと、この敷地内以外を見なくてもそう思った





「未来、か」

「Ah?」

「俺達、本当に未来に来たんだなって思ってな。実際に来てみると面白いモンばっかでよ。わくわくしやがるぜ」

「Me too.俺もだ元親。此処にはどんなもんが待ち受けているか、俺を楽しめるものがあるのか。初めはうさんくせぇと思ったが、今じゃ期待で一杯だ」

「某も同じに御座る。某達の世界の未来ではないのは残念で御座るがしかし、この未来、全身全霊を持って乗り越えて行きとう御座いますぞうぉ館様ぁー!」






未来に期待の目を向ける彼らは第三者から見ればとても輝いていた。今の彼らはどんな荒波が来ようともそれは一つの試練、一つの一興として乗り越えていくに違いない。本来ならば敵同士であったが、今此処で全員の気持ちが一つになった瞬間だった。残念な事に数人程人が少ないが、彼らにしてみればそれだけで充分だった






「見た事がないカラクリが沢山あるから、未来のカラクリは発展しているに違いねぇ!南蛮の技術も取り込んでいたなら尚更だぜ。くー!野郎にも聞かせてやりてぇ話だぜ」

「Oh,未来だからやっぱ南蛮語の他の言語とか流通していたりな。楽しみだ」

「未来だからやはり甘味は沢山あるので御座ろうな…楽しみで御座る。…おっと、某とした事か涎が…」






まるで子供の輝く目だった




















佐助と同じ様に、三人は人がいる事には気付かなかった

その人は壁に寄り添う形で、幸村が覗いた部屋の死角に彼らの話を聞いていた事を

若干、口元に笑みを浮かべていた事も





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