「マジかよ…」 「なんと!」 「Oh…Rearlly?」 「うっそー」 「ふん」 「やっぱり…予想通りだよ」 第一話 「出会うべくして出会う者」 彼らは目を覚ました 虚ろなる白の世界から解放されまた眠りについた彼らが今再び目を覚ました時、真っ先に目についたのは同じ白の世界にいた者達がお互いを凝視していた 誰だかはもう判別が出来たであろう。驚きながらも再会出来た事に喜ぶ者もいれば顔をしかめる者がそれぞれ口を開く 「お久し振りで御座るな。政宗殿、長曽我部殿、竹中殿、毛利殿」 「Ha!久し振りだな。やっぱりお前らだったんだな」 「あの女の台詞で簡単にお前らが浮かんだぜ。元気にしていたか?」 再会を純粋に喜ぶ者達は上から真田幸村、伊達政宗、長曽我部元親 互いに笑いあい肩を組んだりと仲良さげに久々の再会を喜ぶ 「あちゃーまさかとは思っていたけど、偵察を目前としていた時にその本人達がいるなんてね」 「同感だよ。しかし何処も考えている事は同じだね。そう思わないかい?元就君」 「予想外、と言っておくべきか。だが我には本人がいても関係ない。策をまた練り直せば良い話ぞ」 何とも言えない顔をしながら会話をするのは上から猿飛佐助、竹中半兵衛、毛利元就 どうやら互いの国に偵察を行おうとしていたらしいが、それが無駄だと分ると苦笑いや顔をしかめる 「何だ、お前らそんな事を考えてやがったのか」 「当たり前じゃないか。君達だってそうだろ?」 「否定はしねーよ」 「旦那ー、そんなに仲良くしちゃスキやられて首取られるって!」 「心配無用であろう。第一この中で武器を持っているのは佐助しかいないのだろ?」 「そういえば…あ、本当にクナイがあったよ!一本しかないけど。でも使う事はないだろうし、まいっかー」 「やっぱりあれは猿だったんだな」「ちょっと鬼の旦那!俺様の名前猿飛!猿飛だから猿じゃないからつーか何度も言わせないでよ!」 「同じだろ」 「竜の旦那まで…!」 「にしても、此処は一体何処なんだ?」 白い世界ではなく、今度は見た事のない場所 彼らの回りには色とりどりの花が咲いていた。見た事がある花や見た事がない花がまるで彼らを迎えている様に風に揺られていた。彼らの後ろには水を上に吹き出す大きな噴水があり、初めて見る物に一同興味津々に辺りを見渡す そして彼らは気付く 本当に、未来に来たんだと 「綺麗な花だね」 「そうで御座るな。そしてあれは一体…」 「南蛮の書物に書いてあったぜ。あれは噴水だな」 「へぇー、未来は南蛮のモンがあんのかよ」 「そう考えてもおかしくはないだろうに。此処は未来、南蛮と交流があれば自ずと未来も南蛮の影響があるに違いない」 「元就君の言う通り、此処は未来。僕らが知らない見た事がないものが沢山あるんだろう。興味深いね、色々調べてみたいね」 「佐助、」 「了解ー」 幸村の声に佐助は地を蹴った 他の者が目を配らせば佐助は高く建っている照明灯にいた。器用に乗り回りを見渡せば佐助は一つ一つ幸村らに説明をする 「景色は抜群だけど見た事のない物ばかりだぜ。向こうに壁があるが、どうやら此処は誰かの敷地内だ」 「佐助、敷地の向こうは見えるか?」 「いーや、全然!この敷地結構広いぜ。もっと高い所に行かないと向こうまで見えないな」 「なるほどね、まだ誰かの敷地内で良かったかもね」 「そうだな。何があるか分らねーから、まぁ都合が良かったんじゃねーか?」 「Hey,猿!他何かあるか?」 「見た事のない屋敷が沢山あるぜ。どれもこれもデカいし、一番デカい屋敷はそっちも見えると思うけど。そして俺様猿飛だから」 「ふむ、あれか」 目の前にそびえ建つ、見た事のない大きな屋敷 大きな城や屋敷はいつも見ていた。その城を持つ者だからこそ大きなモノは見慣れていた。だが、これは初めて見るものだった。城とは違い、洋風な作りをされてあるモノは彼らの世界には無い。しかも綺麗であまりの大きさに感嘆の吐息を漏らす 「How beautiful!」 「何だぁ?ありゃ城か?」 「城…で御座るな。きっとこの城の持ち主は相当の者に違いない」 「つーことは、俺達って此処に住むって事か?俺らの世界が元に戻るまで…って言っていやがったが」 「此処に来ちまった以上しょうがない事だろうな。なら、此処にあの女が言っていた紫蝶美莉って奴がいるに違いないぜ」 紫蝶美莉 女が言っていた名前 女は紫蝶美莉は頭がキレる者と言っていた。だが信用出来るかと言われたら信用出来ない 戦国乱世で生きる彼らには、得体の知れない者の所で暮らせと言われても難しい話だった 「紫蝶美莉という者は、名からしておなごであろうか」 「女…おいおい大丈夫かよ色々と」 「旦那はちょっとキツいかもね。でも会っていきなり破廉恥なんて言って騒がないでね!」「わかっている。某とて立場をわきまえているつもりで御座るよ!」 「今頼れる者はその者しかおらぬ。その者はこの城の主君であろう。…なら話は早かろう。先はその者と顔を合わせなくてはならない」 「だったらその人を探そうか。彼女に説明は後に考えてもとりあえずこの場から離れよう」 「竹中の旦那に賛成、何時まで此処にいても埒が明かないからな」 「ならば猿、手始めにあの城を捜索せよ。万が一、危険があるのなら手段は選ばぬ様心せよ」 「ちょっとちょっと、本気で言ってんのか毛利の旦那。俺様にこんなわっかんねー場所を捜索しろってか?冗談キツいぜ」 「貴様は忍であろうに。それ位出来て当然だ」 「君の十八番なんだろ?」 「Ha.確かにな」 「必然的な流れだな」 「佐助、某からも頼む。今の現状で頼れる者はお主しかおらぬ」 「あーもう皆忍使い荒いんだから!分かったよとりあえず様子見て中に入ってみるから。外は旦那らがやってよね」 「OK.俺達はあの城周辺を回って中に入れる入口を探す」 「んで、もし入れなかったら中から開けてくれ。もしかしたらそんな仕掛けになってるかもしんねーからな」 「佐助、頼んだぞ」 「了解ーっと」 まさか他の旦那らまでこき使われるハメになるなんて〜…と佐助は諦めに近い溜め息を隠す事なく吐き出し背中に影を背負いながら黒い羽を残してその場から消える それがきっかけの様に残った者は互いの顔を見比べて、互いが敵ではないと改めて再確認する 「政宗殿、長曽我部殿、毛利殿、竹中殿。この様な状況で御座るが、暫くはよろしく頼むで御座いますな」 「Ha!一時休戦だな。ま、そもそも俺達には今武器は無いから戦う事なんて出来ないがな」 「ははっ違いない!よろしくなオメーら」 「…我は馴れ合いは無用ぞ」 「それは僕だって同じだ」 「毛利殿、竹中殿。馴れる馴れ合いはともかく今某達がすべき事は…」 「お前らはそれで勝手にやってろや。真田、伊達行くぜ。猿とさっさと合流しようぜ」 「Ok,今の立場を理解出来ない奴等はほっとくぜ。俺達は先に行くからな」 「毛利殿、竹中殿。また後でお会い致しましょう」 元就と半兵衛を残して、幸村と政宗と元親は先に行った佐助と合流する為にあのデカい屋敷に向かって足を運ばす 必然的に残された二人の内、半兵衛はふむと顎に手を当てながらその後ろ姿を目で追った 「幸村君と政宗君と元親君が手を組むのは想定通りかな。しかし、君があちらに行かなかったのは想定外だったけどね」 「先も行ったはずよ。馴れ合いは無用とな」 「僕も同じだよ。僕も馴れ合いはごめんだ」 「…利害は一致、か」 「そういう事だね。とにかく僕らも行こう。佐助君と合流は後で、僕らは僕らで違う所で彼女に会おう」 「ふん、それが妥当か」 彼ら二人もまた足を運ばす 向かう所は先に行った彼らとは同じでも、彼らとは違う方向に二人は向かう 此処でいきなり三つに別れた 一つは単独で行動する佐助 二つはお互いに手を組み和気あいあいと行動する幸村と政宗と元親 三つは利害一致とみなし別行動をする半兵衛と元就 別々に行動しても、目的は一緒 「しかし、一体どんな人物なんだろうね …紫蝶美莉という人物は」 彼女を探す三つの光 最初に彼女に出会えるのは、誰? |