「この飲み物は紅茶っていってね、味は高級茶葉をブレンドしたストレートティーなんだ。お好みでミルクや砂糖、それとレモンを加えれば格段と美味しいよ。でね!今日作ったのはシンプルにクッキー作ったんだ!さっくさくに出来上がったんだ〜!」 「cookieか!very good!とても美味いぜ。紅茶とマッチしてて」 「美味で御座るよ!」 「こんな美味しいもの初めて食べたよ〜ゴメンねー毒味とか物騒な事言っちゃって」 「本当だよな。こんな旨ェもん、毒入れる方が勿体ねぇぜ」 「うん。こういうのも悪くないね。是非秀吉にも飲んでもらいたいよ」 「……(サクサク)」 「本当?嬉しいなぁ〜そういう事言ってくれると作った甲斐があったよ〜。…エヘヘ」 ニパァァァ…… 「「「(…え、何この可愛い小動物!)」」」 第十二話 「名前当てクイズ」 「それじゃ皆さんのお腹も良くなった所で、早速話をお聞かせ願おうかしら?君達の、戯言を」 提供されたお菓子を堪能した彼等に女は不敵な笑みを浮かべながら皆の顔を一人ずつ一瞥していく 柔らかいソファーに身を沈み、長く白い足を組むその姿は妖艶。肘置きに肘を置いて手に頬を乗せ流し目で見る彼女に釘付けになってしまう。だが、裏を返せば相手はこちら側の出方を楽しんでいる事が受け取れる。立場上、そういった態度をする事はあっても(一部以外)される事がない為、顔をしかめてしまうが此所はグッと堪える 「―――あぁ、でもちょっと待って。君達が仮にも戦国武将だったら…私、君達の名前がもしかしたら分かるかもしれない」 「何…?」 「戯言に乗ってみるのも面白い。…そこの隻眼の彼」 「A?」 「君、もしかして伊達政宗?」 「!」 「「「「「!!!」」」」」 いきなり指を差され言われた言葉に当の本人含め全員が目を張った 答えは聞かずとも態度で反応を理解した女は、クスクスと鈴の鳴る声で笑った。反応が予想以上に面白かったのか、上機嫌に言葉を繋げた 「当時の戦国時代は相手を識別する時は家紋や兜の形で判断していた。後は優秀な忍から得た情報に噂。後は戦場に出た時に名乗る声とかでね。もし、この仮定が正しければ…三日月の兜、右目の隻眼。戦国武将の一人、奥州を納める伊達藤次郎政宗が該当するはず。…改めて君の名前を教えて貰ってもいいかしら?」 「Yes,俺の名はアンタの言う通りだ。奥州筆頭伊達藤次郎政宗。まさか未来人のアンタにすぐ見抜かれるとは思わなかったぜ。Nice to me to you.(よろしくな)」 「!…へぇ、伊達政宗は英語を話せるとは思わなかったよ。Nice to me to you,too.(こちらこそよろしく)光栄に思うよ」 「!貴殿も政宗殿と同じく南蛮語が話せるとは…!」 「やっぱ未来はすげーな…何言ってんのか俺にはさっぱり分からんぜ」 「ふん」 名前を当てられた政宗は何処か誇らしげな様子。しかも相手が南蛮語を知っているとなればテンションも上がる 嬉しそうに小さく笑みを零す政宗に女はクスリと笑う 「さて、このまま君達の名前を言わせて貰うと…鉢巻の彼、君は真田源次郎幸村かな?君の家紋でもある六文銭が首に掛かっている所を見るとそうだと思ったけど」 「なんと!某の名まで当てられるとは光栄に存じまする。貴殿の言う通り、某の名は真田源次郎幸村。貴殿に出会えた事、光栄至極に御座いますれば」 「こちらこそ」 畏まるが意気揚々と自己紹介をする幸村 やはり名前を当てられた事が嬉しかったのかキラキラと瞳が輝いていた。犬の耳が見えるのは気のせいにしておこう 「旦那の名前まで分かるんだ!しかもアンタ、良く見ているね。六文銭まで見抜かれただんてね」 「フフッ。なら次はクナイを持っていた迷彩の彼、」 「はーい!」 「君は真田君に特別な扱いをしている所を見ると、忍という面を考えて…真田十勇士の長、猿飛佐助君かな?」 「!確かにアンタの言う通りだ。俺様は真田の旦那に仕える戦忍、猿飛佐助。でもその真田十勇士の長じゃない。俺様は真田忍隊の長だ。…でもまさか俺様までそれだけの情報で見抜かれるなんてね!」 へへっと鼻を擦る佐助 流石に自分までバレるとは思わなく(元気に「はーい」と言ってみても)、多少警戒してしまうが、でも名を当ててもらって嬉しそうだ 俺様忍なのに目立ち過ぎじゃなーい?と言う言葉はこの際スルー 「確かに君の観察力は目を張るものがあるよ。僕らもどの様に見抜かれるか興味が湧くよ」 「そんなにキラキラした目で見られても何も出ないよ…。猿飛佐助は真田幸村の部下、でも猿飛佐助自体架空の人物だって言われていたからね。それに真田君が佐助って言っていたからさ」 「あー、そうなんだ。でも俺様此所の世界だと架空の人物なんだ…まぁ歴史に載っちゃったら忍として失態っしょ」 「女、はよう次を言え。こんな猿よりも次は我の名を言うてみよ」 「酷っ!」 「お前…何気に待っていたのかよ」 「ならご希望に添えましてそこの緑の彼は…その兜の形からして毛利少輔次郎元就かしら?」 「左様。我の通称名も知っておるとはたいしたものよ。我が名は毛利元就、日輪の申し子よ」 「に、日輪?…あぁ、太陽の事ね…よろしく。毛利元就といえば智将と名が高い御方、会えて光栄よ」 当然だと高らかに態度に示す元就に女は苦笑を漏らす 「なあ!次は俺はどうだ?俺も分かるよな?」 「僕も勿論分かるよね?何せ殆ど彼らの名前を当ててきているんだからさ。分からない方がおかしいよ」 キラキラワクワク 最後に残った二人が期待を持った目で女を見る 女は予想以上に頭が良く物知りだ。全員の名を聞かずに当てるなんて普通は不可能だ。基準はこの世界の自分達だとしても、それでも名前を当てた事は凄い事である。そう考えると元親と半兵衛の名を当ててくれる事は容易いはず …が、女は何とも言えない表情で二人を見返し、コテリと頭を傾げた(可愛い!と一部の奴等が悶えた 「えーっと…紫の彼と白の彼は…」 「「うんうん」」 「特徴が無くてゴメン、分からないや」 「……、は?」 「なん、だって…!?」 「君達が今着ているのは戦の為に着る服だよね?武具っていうの?伊達君や真田君みたいに分かりやすいものが無い。そもそも戦にそんな薄着で行っていけるかが不思議なんだけど…しかも仮面とか眼帯とか独特な特徴を持った武将っていたかしら…?」 「「………!!」」 ショックが大きいです 「ちょ!二人がすっごくヘコんでる!竹中の旦那なんて闇婆娑羅が発動しちゃってるよ!」 「Ha!ざまぁねーな」 「哀れな…かような服を着ているからこうなるのだ」 「ち、長曽我部殿竹中殿お気を確かに…!」 「えっと、ゴメン…誰かヒント頂戴…ヒントくれたら答えれるからさ…?」 復活まで軽く三十分は掛かった |